37:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 05:42:39.87 ID:EwL7hHPK0
許容範囲内なら何でも一つ叶えてくれる―― それは一体。
何でも叶えてくれる(許容範囲内なら)と言った玲子、その言葉はエコーのように響いて俺の脳裏で悪魔の囁きの如くずっとうごめいている。
望み、願い…… 何でも?
何でも、許容範囲内なら何でも叶えてくれる―― いや、そんなことできるはずがない。
「そんなことできるわけがないでしょう」
「いや、できるのだ」
タバコの火をもみ消しながら言い切る玲子。
サラリと流れる黒髪。
「それじゃ俺が『億万長者になりたい』とでも言ったら?」
「できる」
「そんなハッタリを…… 馬鹿にしているんですか?」
無言で二本目のタバコに火をつける。
「それでは善次郎くんは億万長者になりたいのか?」
試すような視線。
ああ、なれるものならなりたいさ。世の中金が全てだ。愛がどうのなどとクサいことを言う者もいるがそれは全くの欺瞞。愛さえ金で買えてしまう世の中なのである…… 現実は残酷だ。
だからなれるものならなりたい。しかしファンタジーの世界ではない、ここはリアルワールドだ。ハッタリもいい加減にして欲しい。
「いや、冗談ですよ―― そんな魔法みたいなことできるわけがないし」
「それができるんだな」
「本当に、そろそろいい加減にして下さいよ…… 人を馬鹿にするのも大概にして下さい」
それとも何か…… この女も「私は一年で億万長者になれるノウハウを知っている」とでも言うつもりか? そして二言目には「だから30万を払って私の授業を受けてみないか?」と来るんだろう。またマルチまがい野郎か。
「そうか…… まあ、信じられないのも無理はないだろう」
煙を吐きながら呟く玲子。
「それでは―― 私がそうできることを証明しようではないか」
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