5:名無しNIPPER[saga]
2015/09/30(水) 03:29:01.33 ID:Csg2FCKN0
俺は決して、できる人間でも特別な人間でもなかったのだ。
そう、上には上がいる。
俺は「身の丈」という概念を否定し空回りしていただけだった。
自分は特別な人間という、そんな妄念の海に溺れていただけだった。
その癖そこから脱出するための努力もしなかったのである。
考えてみれば書道だって入選したと言っても、同じく入選した人間は全国規模だから何百といただろうし、その中で更に選抜されるとなれば…… 俺は果たしてその中の上位に食い込めただろうか。
英検だって―― 語弊はあるが、言ってしまえば2級。1級や準1級ではない、2級だ。
決して自慢できるものではない、同じ人間は山ほどいるのだ。
それにこれも高校のカリキュラムで「受けさせられた」ものであるから、合格へ向けて勉強はしたものの…… 自発的に行動し勝ち取ったものとは言い難い。
このように、俺は決して特別な人間ではなく、努力もせず、やりたいこともなく…… 意志もなかった。
あれこれ考えてその結論に達した時、俺の人生はまるで無駄だと感じた。
そして次にやってきたのは「生きるって何だ?」という疑問。
ある人間はこう言った―― 妥協することだ、と。
仕事にしろ、夢にしろ、自分の望み通りの生き方ができる者は多くない。
だからそれはそういうものとして受け入れて、最も希望に近かったり気持ちが許す地点を探し、そこに落ち着いて身分相応に生きる…… 即ち妥協することが大切ということ。
それでは、妥協するくらいなら全て諦めてしまった方がいいのではないか―― 俺のように。
意志もなく努力もしない最悪人間であり、臆病者であるにも関わらず…… 俺は人一倍の自尊心と虚栄心を持っていた。
そんな「クソプライド」だけは一丁前で、そのプライドは俺に妥協することを許さなかったのである。
気付くとそのプライドに自分自身が食い尽くされていて…… 最後には妥協もできず全てを諦め、燃え尽きて真っ白というわけだ。
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