過去ログ - 白菊ほたる「かげろう、プロデューサーさん」
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名無しNIPPER
[saga sage]
2015/10/01(木) 23:39:31.14 ID:cI/SoD+oo
はっと目を覚ますと、身体にものすごい熱が篭っていた。
俺の頭を、バター色の西日がジリジリと焼いていた。
どろどろの目で覗いてみると、駅の出入り口は人を飲んだり吐いたり大変そうだった。
俺は紙のカップをゴミ箱へ捨てて、そそくさと店を出た。
8
:
名無しNIPPER
[saga sage]
2015/10/01(木) 23:40:04.00 ID:cI/SoD+oo
ぐーっと伸びをすると、いよいよスカウトマンを演じる気がなくなっているのに気づいてしまう。
それはそれでいいのだが。
俺はこれから、下校していく途中の女子学生に声をかける。
笑われたり、怯えられたりして、結局、誰も俺のことを信じない。
以下略
9
:
名無しNIPPER
[saga sage]
2015/10/01(木) 23:40:35.14 ID:cI/SoD+oo
白菊ほたるは、十二分にかわいい女の子だった。
色白で、少し憂いのある表情が男心をくすぐるような、儚げな女の子。
歳は十いくつとかで、まだ中学にも上がっていないらしい。
10
:
名無しNIPPER
[saga sage]
2015/10/01(木) 23:41:25.94 ID:cI/SoD+oo
ちょっといいですか、と声をかけると、彼女はビクッと身体を震わせて、この世の終わりみたいな顔を振り向かせた。
「怪しい者じゃないんです」
自分で言ってて、ついつい吹き出してしまった。
以下略
11
:
名無しNIPPER
[saga sage]
2015/10/01(木) 23:42:02.90 ID:cI/SoD+oo
――――
家に帰ってから、頬が引きつっていないか鏡で確認した。
スーツを脱ぐと身体中の筋肉が一気に緩んだ気がした。
布団へ倒れこんで、すぐに意識は形を崩した。
以下略
12
:
名無しNIPPER
[saga sage]
2015/10/01(木) 23:42:32.88 ID:cI/SoD+oo
――プロダクションに所属するとき、どうしても登録料が二万円必要なんだ。
俺がデタラメを言うと、ほたるちゃんは「両親に相談してみます」と眉をハの字にした。
二万円か。彼女くらいの子どもには途方もない大金だろう。
以下略
13
:
名無しNIPPER
[saga sage]
2015/10/01(木) 23:42:58.96 ID:cI/SoD+oo
名刺はない、会社の名前も聞かなかったと言うし、ほたるちゃんが持っているのはメモに殴り書きの電話番号だけ。
そして、登録料に二万円? 怪しい。
ほたるちゃんの両親がよほどのバカでなければ、本当にスカウトマンだったのか確かめようとするだろう。
いや、それさえしないはずだ。
以下略
14
:
名無しNIPPER
[saga sage]
2015/10/01(木) 23:43:25.97 ID:cI/SoD+oo
翌朝、目を覚ますと携帯電話に留守録が残っているのに気がついた。
再生してみると、ほたるちゃんの泣きそうな声が聞こえた。
『――反対されたんですけど、私……アイドルに、なりたいです。
あの、両親は……やめなさいって、言うんですけど……。
以下略
15
:
名無しNIPPER
[saga sage]
2015/10/01(木) 23:44:20.74 ID:cI/SoD+oo
「二万円かー」
結局、最適解は見つからないまま、朝食を食べ終わる。今日は何時間働くんだっけ。
隅に脱ぎ捨てたままのスーツが目について、拾い上げる。
以下略
16
:
名無しNIPPER
[saga sage]
2015/10/01(木) 23:44:52.05 ID:cI/SoD+oo
――――
一週間という一括りはいつからか空っぽのハリボテになっていた。
バイトに行って、寝て、何曜日と何曜日が休み。
待っているものはなく、ただ老いと死まで続く一本道を無感動に歩いているだけ。
以下略
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