過去ログ - 千早「12色のクレパス」
1- 20
144:名無しNIPPER[saga]
2015/10/25(日) 00:30:20.94 ID:WfReZCwA0
 真は、春香が中央に描いた赤丸を、プロデューサーの口にすると言いました。
 その発想は良いとしても、肝心の黒で描いた顔の輪郭が、丁寧だけど不格好です。
 皆からブーイングを受け、きっと悪いとは内心思いつつも、真は少し怒りました。

 ようやく訪れた、萩原さんの最初の一描きは、真が描いたその輪郭の修正です。
 ですが、黒の上から白で描いても、滲むばかりで真っ白になることはありません。
 余計に見栄えが悪くなったと、萩原さんは大変恐縮し、シャベルを持ち出しました。

 ようやく皆で萩原さんを抑えると――彼女は申し訳無さそうに、給湯室へ向かいました。


 律子が描いた緑の葉っぱの間を、私は青く塗りつぶしていきます。
 そんなに几帳面に青にしなくても良いのでは、と我那覇さんは言いました。
 でも、葉っぱが無い所には空が見えるのだから、青くないとおかしいと思います。

 あずささんは相変わらずマイペースに、淡々とキャンバスの外側を縁取っていきます。
 四条さんはというと――なぜか縁取りは止めて、妙な場所に臙脂を塗っているんです。
 理由を聞いても、不可思議なことを言うばかりで、あまり解決になりません。


 そのうちに、惰性的な雰囲気が流れ――ふと、我に返り、キャンバスを見直しました。

 これは一体、何なのだろうか。
 ただの色の羅列――先ほど話したプロデューサーの印象が、反映されていないのでは?

 そう疑い始めた時――萩原さんが淹れてくれたお茶を、春香が持ってきて――。


 気づいた時には遅く――春香が転んで、お盆の上のお茶が、キャンバスにかかりました。

 優君のスケッチブックが――! と、春香は私に何度も謝ります。
 気にするべきなのはそこではなく、この絵だと思うのですけれど、まぁともかく――。

 それを機に――亜美と真美の、そして皆のスイッチが、入ってしまったんです。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
177Res/216.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice