39: ◆eO0MHGE6wPTj[saga]
2015/11/10(火) 22:38:25.78 ID:hXnjM4nD0
「プロデューサー君、担当してもらう子が来たから、ちょっと来てくれ」
部長がそう声を上げた。
やっと来たのか、という考えと同時に、来てしまったのか、という考えが入り混じっていた。
「わかりました」
腰を上げ、部長のいる方へ行くと。
「紹介するよ。今日から君の担当アイドルの渋谷凛さんだ」
美しく、清らかな黒髪。
吸い込まれそうなほどに深い色をした瞳。
スラっと伸びた手足。
非の打ち所の無い美少女だった。
「あ、えと、新しく入社して、君のプロデュースを担当になりました。よ、よろしく」
先程の加蓮と話すときと、何故こうも口調が違うのか。
簡単だ。
怖い。
目つきがまず怖い。
明らかに睨まれている。
てか、無理。
こんな子プロデュースなんてできませんよ。
死んでしまう。
そんな失礼極まりないことを考えていた矢先だった。
「ふーん? あんたが私のプロデューサーなの? まぁ悪くないかな。うん」
「え、あ? はい? それはどうも。はい」
余りの不意打ちに頭おかしい奴みたいな返事をしてしまった。
「ちょっと、大丈夫なの?」
「え? あ、うん、大丈夫。まぁ、先に言っておくけど、俺、人と話すの苦手で中高ぼっちだったレベルなんだ、分かっててくれるとありがたいです」
気を取り直して軽く自己紹介をした。
自己紹介になってないかもしれないが。
「え、へぇ、そうなんだ」
あれ?
なにか、凛が笑ったような気が。
馬鹿にするとか、嘲笑うんじゃなく。
純粋に、例えるなら昨日、部長と話していたときの俺のように。
「ま、まぁそんなだけど、一生懸命頑張るから、よろしく、うん」
「うん、よろしく」
それでも挨拶はそっけなく、先程の笑みも勘違いなんだと思った。
「それじゃ、凛さんはレッスンに行ってもらえるかな。プロデューサーさんは早速業務を始めてくれると助かるよ」
「え、先輩達に挨拶とかはしなくていいんですか?」
先程から抱いていた疑問を口にした。
「いや、先輩なんていないんだよ。発足したばかりの部門だしね。君の代が一番最初なんだよ」
「あ、そうなんですか。分かりました」
「それじゃ、お願いね」
そう言って部長も自身の持ち場へと戻っていった。
実際仕事内容は頭に入っているので、早速業務を始めた。
100Res/117.73 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。