51: ◆eO0MHGE6wPTj[saga]
2015/11/17(火) 20:28:18.10 ID:24ZtkVrg0
「いや、でも」
「お前、まともな仕事取ってきてねーだろ。こんぐらいやれよ」
そう、耳元で囁かれた。
あまりにこの一言が重かった。
凛に仕事をとってきてやれてないことに悩んでいた俺にとって、この一言の重さはあまりに重すぎた。
「え、あ、はい、わかりました……」
結局、承諾してしまった。
そもそも、こういう人間関係の幅が広い人間を敵に回すことほど怖いものなど無い。
何をされるかも分からないからだ。
この時点で俺は次の展開まで読めていた。
「マジで? じゃ俺のも頼んでいいかな?」
ほら来た。
分かってるんだよ。
ここで便乗しておけば引き受けてくれるって思ってるんだろう。
「あ、はい、分かりました」
ここで断るのも怖かった。
結局俺は、2人分の書類を抱えることになったのだ。
しかも期限は明日。
今やるしかないのだ。
「ありがとう! 助かるわ〜。ほんとに! ありがとうね!」
「そんじゃ俺らは帰るから、頑張ってな。じゃあなー」
何が頑張れだ、何がありがとうだ。
そんなこと、微塵も思っていないくせに。
心の中ではラッキー、こいつちょれぇー。
くらいにしか思ってないくせに。
やりたくなんてなかった。
心の底からこの書類をあの2人の机に置いて帰りたかった。
だがそんなことが俺に出来るわけがなかった。
そんなことをすれば、後から確実に何かしらの報復を受けることになる。
だったら、少し苦労してでもこの書類を片付けてしまった方が何倍もマシだと思っていた。
「くそったれ……」
そう一言だけ呟いて、俺は2人分の書類の作業を始めた。
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