77: ◆eO0MHGE6wPTj[saga]
2015/11/18(水) 23:58:38.43 ID:opLhvimn0
「凛、遅くなって、ごめん」
口から出たのは、今の今まで見舞いに来なかったことの謝罪だった。
それ以上に言葉が見つからなかった。
それでも、俺は凛に現状を報告することにした。
聞こえる訳も無く、届く訳もないのに。
「俺、凛が目を覚ますまで、他の子の担当を頼まれたよ。それ、やってみようかと思ってるんだ。だって、凛が目を覚ました時、俺が腕を上げてたらすぐにでも凛を輝くステージに立たせてあげられるかもしれないだろ? 前までの俺なら、多分、いや、絶対受けてなかったと思う。でも今は、やらなきゃならないって思えるんだ。凛をトップアイドルにしてあげたいからさ。目を覚ました凛を驚かせてやりたいんだ。だから、これは凛から離れる訳じゃないんだ。言うなら、特訓かな。俺が、凛をすぐにすっげえアイドルにする腕を身に着けるための、特訓。でも、早く目を覚ましてくれよ。それが俺の一番の喜びだからさ。あれ、俺、言ってることごちゃごちゃだな」
そこまで言って、自分が意味不明なことを言っていることに気が付いた。
それだけ伝えたいことがあったのだ。
島村卯月と本田未央のプロデュースを引き受けるつもりだというのも本当だ。
本当に、今までの俺ならプロデュースなんて絶対に引き受けていなかっただろう。
だが、そんな俺を凛は変えてくれた。
ここに来るまでの車で考えた。
俺が今凛の為に出来ることは何かと。
そして、それがいつまでもくよくよしてないで、凛が目を覚ましたとき、すぐにでも人気アイドルにして上げられるくらいの腕を身に着けることだと思ったの
だ。
それなら、今、社長から頼まれた案件を引き受けるべきだと思った。
いつまでも落ち込んでたら、それこそ目を覚ました時に凛に怒られそうだしな。
「それじゃあ、凛、また来るよ。それと、俺、頑張るから、凛も頑張ってな」
そう言い残し、俺は病室を出た。
部長を待たせるのも悪いと思い、急いで車へ戻った。
「部長、お待たせして申し訳ありません」
「いやいや、構わないさ。さて、この後どうするかな? 君は今日タクシーで来たんだよね、もしあれなら送るけど?」
「いえ――」
俺は、決めたんだ。
凛のために、出来ることをするって。
「社長と話したいので、346プロダクションまでお願いします」
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