8:名無しNIPPER[saga]
2015/11/04(水) 19:17:41.78 ID:Pnjk1jYA0
凛がレッスンに出てしばらく経った頃、テレビ局に売り込みに行こうと思い立った。
凛のプロフィールを持ち、服装をしっかり整え、車を出す。
何故そんなことをしようと思ったかは自分でもよく分からないが、朝早く起きたからとはいえあんなに早くプロダクションに来て、ランニングまでしていた凛の姿を見て、いてもたってもいられなくなった。というのが大きいのかもしれない。
まず最初に向かうのは、一度凛をゲストで出してくれたテレビ局のディレクターのところだ。
その人は、不慣れな俺に対しても優しく接してくれて、お酒の席に誘ってもらったこともあり、話しやすい人だったからだ。
それに、飲みに言った際に教えてもらった携帯の番号に電話をかけ、お話がしたいと連絡したところ、快諾してくれた。
会社のほうに来てくれと言われたので、会社へ出向き、受付の人へ話すと、客室のようなところへ通された。
「こちらでお待ちください」
と、事務的な言葉を残し、受付の女性が戻った数分後に、当のディレクターが来た。
「おぉ、君か、久しぶりだね」
その一言を聞いて安心した。
突然訪問した俺に怒っていない様子だったからだ。
「はい。ご無沙汰してます。今日はお忙しいところ申し訳ありません」
「いやいや、いいっていいって。それで、今日はどうしたの?」
「それはですね、私の担当アイドルの渋谷凛のお話をさせていただきたく思い、訪問しました」
使い慣れていない敬語を使い、訪問の理由を伝える。
「あぁ、あの時の子か。それで、あれ以来どう?」
いきなり核心を突く質問をされ、背中にじんわりと汗がにじむ。
ここでいやはや全くで、と面白おかしく言うのと、よくはなっていますがまだまだです、と真面目に言うので、相手への印象も変わってくるだろう。
人と話すことがあまり得意ではない俺は、どちらが正解なのかも分からない。
俺がアイドルのプロデューサーになった理由は、他人からもよく聞かれるが、人に言えるようなことでは無いのでなんとなく、と返すようにしている。
明らかに適性の無い職業故に失敗を繰り返す。
そして今回もまた失敗を犯す。
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