80: ◆eO0MHGE6wPTj[saga]
2015/11/19(木) 23:55:54.66 ID:FeijHWiK0
「それじゃあ、話を戻すけど、テレビ局のディレクターさんとかと話す時に、無理にしっかりした話し方をするんじゃなくて、自分が思う担当の子のいいところをたくさん言うほうがいいと思うよ。無駄にご機嫌取ったりしようとしても、プロデューサーさんのコミュ力じゃ無理でしょ?」
「もう少し言葉を選んでくれ、傷付く。でもまぁ、言ってることは間違ってないかもしれないな。これからしばらくは島村卯月と本田未央の担当をやるんだ
が、その時に試してみるよ」
凛が目を覚まして、活動を再開するまでに、俺が仕事の出来るプロデューサーになっておくための特訓だ。
「そうそう、それで敏腕プロデューサーになって、凛が仕事できるようになったら、私と奈緒と凛でユニットを組ませてよ」
「ユニット、か、それもいいかもしれないな。って、凛、いつの間にあの奈緒って子とも仲良くなってたのか」
意外だ。
まぁ仲良くなれるだろうとは思っていたが、俺に話さないから特に話したりしていないのかと思っていた。
「そうだよ、一番最初に出かけたときに私が呼んで、そしたら2人も仲良くなったの」
「そうだったのか、凛も良い友達を持ったみたいで良かったよ」
凛にも友達がいるのなら、俺も安心する。
何故かは分からないが、凛が一人ぼっちじゃないというだけで安堵感を覚えた。
「それで、3人でいつかユニットを組んで活動したいね、って話してたんだ」
「そうか、じゃあ、尚更俺が頑張らないとな」
「そうそう、期待してるからね。って、私達、凛が完全に目を覚ますこと前提で話してたね……」
そう言って加蓮の顔が暗くなる。
確かに、医者にも目を覚ますのは絶望的だと言われたし、俺も確かに心のどこかではそう思っているかもしれない。
だが、それ以上に思うことがある。
信じることが出来ずに何がプロデューサーだ。
待っていて上げることができずに何がプロデューサーだ。
と。
俺は、凛と1年間二人三脚で頑張ってきて、そんな思考を持てるようになっていた。
あまり人を信じてこなかった俺が、凛を心の底から信じられるようになっていた。
だったら、そんな風に俺を変えてくれた凛を信じ続けるのは、当然ではないだろうか。
「大丈夫だって。凛は絶対目を覚ます。俺は信じてる。加蓮も信じろ、な?」
そう言って慰めることしか出来なかったが、それでも、それくらいのことしか出来なくても、俺は凛の為に何でもしてやろうと思っているんだ。
加蓮にも凛が目を覚ますように願ってもらえればそれはもう万々歳だ。
まぁ、加蓮の場合、俺に言われなくても凛が目を覚ますことを強く願ってそうだけどな。
「そうだよね、凛は絶対大丈夫だよね。うん」
その後は、2人で、今後の仕事のための会議をした。
もっとも、その後の加蓮のスイーツ食べまくりにより、財布に悲劇が襲い掛かったのはまた別の話だ。
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