過去ログ - 勇者「デブと一緒に旅に出ることになった」
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128: ◆LsZ4kFgXss[saga]
2016/01/07(木) 22:23:06.35 ID:4Rr0q2JxO
その時、彼の横顔に剣が突きつけられた。
静かな誰何と共に横を睨む。
赤髪の青年もまた刺す様な視線で返す。
言わずとも剣を鞘走らせた理由は明白だ。
ジャラールを退治するつもりなのだ。
ダークエルフは迷惑な存在、害獣だから。
紫色の肌は触れてはならぬ邪悪の証だから。

ジャラール「人間か」

エルフと別種である人間に、ジャラールは僅かながらも期待を抱いていた。
高度な技術と数を併せ持つ人間を味方につけることができれば、ハイエルフの殲滅など赤児の手を捻るくらい容易になる。
店内に入った時から、青年に声をかけようと決めていた。
まさか、剣で語り合うことになろうとは。

勇者「テメェが何者かは知らん。でもよ、真昼間にフード姿で駄菓子屋に乱入、挙げ句の果てにゃ黒魔法で脅しときた。これはどう考えてもテメェ」

勇者「悪だろ」ザッ

青年の剣が旋風を巻き起こし、首筋に迫る。
咄嗟に黒魔法でレイピアを生成したジャラールは、強撃を辛くも受け止める。
重さに腕が痺れ、思わず一歩後退した。
その拍子に頭を覆っていたフードが取れる。

勇者「顔色悪いな、テメェ……!」

青年が息を飲んで自分の顔を凝視した。
紫色の顔面を見るのは、初めてなのだろう。
ならば、自分の話が通じるかもしれない。
ジャラールがレイピアを消しかけた時、青年の横から猛烈な速度で肉薄する影があった。
闇色の刃と銀色の刃が噛み合う。
派手な金属音に店内が震える。
今度は甲冑に身を固めた金髪の女騎士だ。

女騎士「勇者様、惚けている暇はありません。この者はダークエルフ、魔王の眷属と一説には言われています」ガキィン

勇者「魔王の眷属だと!? ここで討たねば、エルフの里に甚大な被害が及ぶではないか!」

女騎士「その通りです。半殺しにして、魔王の居場所を吐かせるのも良いでしょう」

勇者「ほう、名案だな」

ソラト「弓を忘れてきちゃった」

勇者「なら寝てな! すぐ片付けてやんよ」

言語が違うため、話の内容はちんぷんかんぷんだが、青年の対応で理解できる。
女騎士との戦闘に、剣を構えた青年が参入してきたのだ。
左右から死が軌跡を描いて飛んでくる。
無駄な動きが少ないことから、敵は相当の手練れであろう。
無論、予想の範囲内ではあるが。
10合、20合と剣撃の応酬を重ねる内に、斬り合いは熾烈を極めた。
三人とも身体の至る所から血を流し、それでも膝をつくことはない。
ジャラールは瞬間移動で背後を取ろうとするが、もう一つの剣がそれを阻む。
逆に敵の聖剣が彼の首を刎ねんとすれば、エルフの俊敏さを以て舞うようにかわす。
人間は疲労と驚愕の入り混じった表情だ。
自分はどんな顔で闘っているのだろう。
彼にはまだ余裕があった。

女騎士(二本あるのに対応されている……これがダークエルフの力……!)クッ

勇者(なぜ女騎士が俺と同じ武器なのか謎だが、俺達が押されているのは確かだ)

勇者(奴の剣には余裕がある。おそらく本来の半分くらいの力しか出していない。黒魔法も使ってこないしな)ハァハァ


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