過去ログ - 唯「われなべ!」梓「とじぶた!」
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:06:02.57 ID:bw1SoqCW0
わたしは意味がわからず、合図を無視して唯先輩に近づき、気がついた。
部屋の扉がうっすら開いている。
自然、視線は隙間に吸い寄せられていく。
12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:06:54.70 ID:bw1SoqCW0
夜の女子寮を飛び出し目的もなくただ全力で走り続けて…いつしか鴨川の手前まで来たころ、わたしはビニール袋の中に手を突っ込み、ハーゲンダッツを二つ掴むと、大きく振りかぶって腕を振り、川の中に放り投げた。
真っ暗闇に放物線を描き、ハーゲンダッツは飛んでった。
『なかなかいいフォームだね』
13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:07:42.53 ID:bw1SoqCW0
鴨川を見下ろした唯先輩は、目を細めてアイスの落下点を探すように左右に視線を泳がせた。いや、見つけてももう食べれないし。
わたしの心の声が聞こえたのか、自分の行動の無意味さに気づいたのか、唯先輩がこちらを振り向いてニコっと笑うと、『風邪ひくよ』とわたしの首にマフラーを巻いて、
『わたしもねー、りっちゃんのこと、好きだったんだよねー』
14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:08:44.54 ID:bw1SoqCW0
唐突な告白と、なんでバレてたんだろうという疑問が胸の内をぐるぐる巡り、
発言が冗談なのか本気なのかも判断できず、
気の利いた返答も思いつかず、
わたしはただ並んで川面を見下ろすしかできなかった。
15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:09:46.15 ID:bw1SoqCW0
★
「だからさ。一緒にラーメンを食べに行ったその日のりっちゃんはさ。澪ちゃんのものじゃなかったと思うんだ」
なるほど。
16:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:10:45.14 ID:bw1SoqCW0
「…唯先輩は、」
わたしのジョッキはというと、3/4も減っていない。
「唯先輩は律先輩を独り占めしたいとは思わなかったんですか」
17:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:11:55.88 ID:bw1SoqCW0
★
あずにゃんがわたしのことを甘いもの好きな人、って思ってるのは知ってる。
そのとーりだよ。ちっとも間違ってないよ。わたしは甘いものが好き。昔も今も。かわらないよ。
18:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:13:14.22 ID:bw1SoqCW0
夏頃だったと思う。
ライブがあって、その打ち上げの帰り。
なんだかまだ飲み足りなくて、そーいえばこないだ部屋飲みしたときの残りが、まだ冷蔵庫に残ってたじゃん、って思い出してりっちゃんを誘った。
じゃあツマミはわたしが持ってくわ、と言ったりっちゃんが差し出したのはキムチ。
19:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:14:05.34 ID:bw1SoqCW0
げっ、辛そう!
もうこのニオイだけでイヤな予感がする。
うーん、どうしようかな。
迷ったけどりっちゃんに笑われたのが悔しい気持ちもあったし、
20:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:15:26.48 ID:bw1SoqCW0
自分がけっこー辛いものもイケちゃう、ってわかってからも、5人でいるときはあんまりそんな素振りを見せることはなかったと思う。多少の恥じらいもあったのかなぁ。
それにみんなと一緒のときは甘いものを食べる機会の方が圧倒的に多かったし。甘いものは変わらずに好きだし。
『唯先輩はホントに甘いもの好きですよね…』
21:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/10(火) 21:16:25.14 ID:bw1SoqCW0
キムチのおいしさを教えてくれたりっちゃん。
だからわたしにとってのキムチの味は、りっちゃんの味。
大好きになったキムチ。
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