818:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:13:24.76 ID:In4DJ8ILo
「“それ”だよ」とゴローは言った。
「おまえに足りねえのはそれだよタクミ。いいあぐねて口ごもって言葉に詰まって言いたいことを言わない。
819:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:13:54.26 ID:In4DJ8ILo
「だったら騒げよ」
俺は納得がいかないんだって、俺のせいでもないし、誰のせいでもないけど、黙って受け入れるのは嫌だって、騒げよ。
ゴローはそう言った。
820:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:14:23.19 ID:In4DJ8ILo
◇
触れたこともないベースにちょっと触る気になったのは、たぶんゴローの言葉のおかげなんだと思う。
よだかのこと、嘉山のこと、死んでしまった猫のこと。
821:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:15:00.81 ID:In4DJ8ILo
「そうなんです」とゴローは言った。
「文化祭でやるの?」
822:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:15:49.48 ID:In4DJ8ILo
美人が奥から出てきた。
すらっとした身体が薄手のシャツとスウェットで包まれている。
眠たげにあくびをしてから、台所へ向かって、水道の水をグラスに汲んでから一気に飲み干した。
823:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:16:28.82 ID:In4DJ8ILo
「今日、デートって言ってなかった?」
「明日。今日は午後までバイトなんだって。そのあと、市内のコンビニめぐってディズニーの一番くじ見てくるって言ってた」
824:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:16:56.81 ID:In4DJ8ILo
ちい姉のことは、なぜだろう、よく覚えていない。
あんまり話さない人だった、という印象がある。
口数が少なくて、表情もあんまり動かなくて、正直、少し怖かったような気がする。
825:名無しNIPPER[saga]
2016/03/08(火) 00:17:23.84 ID:In4DJ8ILo
「……タクミ、くん?」
「……あ。おひさしぶりです」
826: ◆1t9LRTPWKRYF[saga]
2016/03/08(火) 00:18:02.44 ID:In4DJ8ILo
つづく
827:名無しNIPPER[sage]
2016/03/08(火) 00:32:05.55 ID:qGIgLekYo
乙です
1002Res/782.99 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。