過去ログ - 唯「わたしがオバさんになっても」
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5:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:07:44.79 ID:jnRZeB6L0
玄関先から灯りが漏れている。
駅から家まで、歩いて五分。走れば三分。傘がなくてもなんとかならなくもない距離だけど、秋の夜寒を雨に打たれて風邪でも引いたら元も子もない。ありがとね、りっちゃん。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:09:03.22 ID:jnRZeB6L0
扉を開けば発泡酒がずらっと並ぶ冷蔵庫。
「そういえばさぁ、澪ちゃん帰ってきてるって?」
7:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:10:10.90 ID:jnRZeB6L0
「久しぶりに会えないか、って連絡きたんだけど」
「へー、そうなの」
りっちゃんはソファーに寝っ転がったままテレビに見入っている。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:11:44.10 ID:jnRZeB6L0
ムギちゃんの結婚式。
あまりに大きく広すぎな会場、わたし達はその隅っこに四人固まって座った。
宮殿のような会場にはじめはテンション上がりまくりだったとわたしとりっちゃんも、知り合いがわたし達以外には誰もいなくて、あとは琴吹家関係のアッパークラスの人たちばかりだと気付いてからはずっと大人しくしてた。
澪ちゃんとあずにゃんは初めから緊張でガチガチで、澪ちゃんは自分の格好が場違いじゃないか何度も何度もわたしに尋ねてきた(わたしに聞かれてもわかるわけないじゃん)。とにかく小さくちょこんと座ってご馳走を食べた。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:13:15.57 ID:jnRZeB6L0
結局ムギちゃんに声をかけられず、式が終わって四人、帰りに白木屋で飲んだ。
披露宴の料理はおいしかったけど、名前も知らない横文字のご馳走より、チェーンの居酒屋のホッケの方がわたしは好きだ。
10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:15:38.08 ID:jnRZeB6L0
作り物の笑い声が耳に入ってふと我に帰る。
いつの間にか番組が変わってた。バラエティになってる。
喉の渇きを感じて発泡酒に口をつけた。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:17:29.79 ID:jnRZeB6L0
「帰るわ」
「珍しいね。泊まってけばいいのに」
「いや、今日はやめとく。あんまり帰らないとうるさいからさ。親も、聡も」
12:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:18:12.45 ID:jnRZeB6L0
「次、いつ来る?」
「明日はちょっと遅いかも」
玄関のドアを開けると、まだ雨がかすかに降っている。
13:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:20:17.74 ID:jnRZeB6L0
一人きりになると、時計の針の音がやけにうるさく聞こえるのはなんでなんだろう。
半分以上残った発泡酒を一気に飲み干すと、洗面所に足を向けた。
14:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:21:15.95 ID:jnRZeB6L0
…
若さにこだわってる時点で若くないか。
15:名無しNIPPER[sage saga]
2015/11/26(木) 21:23:16.40 ID:jnRZeB6L0
★★
天井をぐるんぐるんとプロペラが回っている。
随分大きな窓から燦々と太陽が降り注ぐ、秋の午後。
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