29:名無しNIPPER[saga]
2015/12/25(金) 19:22:19.98 ID:lWDqkljoo
◇ ◇ ◇
「……あの」
声を掛けると、少女はびくりと背を震わせました。
そしてゆっくりと顔を上げます。
「――どちら様、ですか?」
はっと目を引く、それは美しい少女でした。
失礼の無いよう振る舞おうと、気丈に涙を拭います。
輝く金髪はサテンのよう。碧い瞳は宝石のようでした。
しかしその顔も丁寧に仕立てられた服も、灰でも被ったかのように汚れています。
「……ええと、僕は」
「魔法使い、さん?」
少年の装いに気付いた少女が呟きました。
「いや」
その言葉に、少年は帽子を目深に被り直します。
「まだ、魔法使いじゃないんだ」
少女が、潤んだ瞳を瞬かせました。
◇ ◇ ◇
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