過去ログ - 【悪魔のリドル】春紀「あれから」
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13: ◆UwPavr4O3k[saga]
2016/01/03(日) 01:44:11.60 ID:x3nhYeTf0
※ニオ視点



 
大切な人が嬲られている。

それは、激しい頭痛に襲われている時に度々覚える感覚と同じだった。

殺す。殺す。殺す。殺す。ただ純粋な、その殺意。



 『さっさと、体を返せ』



脳裏に響く声を、この時初めて聞いた。



 ニオ「………離、せ。」

 真夜「あ?」

 ニオ「((((((その人から離れろ)))))」



右肩をダラリと垂らしたまま、立ち上がった私はその瞳に力を込めて春紀さんに馬乗りになった黒服の女を見つめる。

不機嫌そうに眉を顰めて振り返った黒服は、はっと何かに気が付いたように急いで腕で顔を隠す。

その瞳は、悍ましい程に赤く輝いていた。


 真夜「チッ、クソがァ!!」


ギリギリと、幻術に抗おうと暴れる彼女だったが、加減を知らない私の術は今出せる全ての力で拘束していた。

徐々にぐったりとしたまま動かない春紀さんの上から立ち上がり、そのまま数メートル程後ろに下がって行ったところで立ち止まる。


 ニオ「はぁッ、はぁッ」


砕けた右肩を左手で支えながら、しかし視線だけは彼女から離さない。

使い続けている間、ずっと心臓が締め付けられるような苦しさと頭痛に苛まれている。

正直、この地獄の様な感覚から早く抜け出したい。でも、そうしてしまったら、きっと春紀さんは救えない。


 真夜「ッ、ぐがっ」


そして、知らぬ間に口にしていた言葉によって黒服が自分の首を絞め始める。

殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す―――――――――ころ、

 
 春紀「や、めろッ……!!」


ビクッ、と私は肩を震わせてすぐさま中断する言葉を口にする。

初めはビクビクと痙攣していた黒服は、そのままストンと意識を失い地面に倒れ伏す。

だが、今はそれよりも。

 
 ニオ「春紀さっ、早く、早く救急車呼びます!」

 春紀「たの、む」


意識を失った春紀さんが最後の力を振り絞って叫んだ言葉は、私を止める言葉だった。

もし、あの声が無ければ、私は黒服を殺してしまっただろう。







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