過去ログ - 【悪魔のリドル】春紀「あれから」
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56: ◆UwPavr4O3k[saga]
2016/05/06(金) 04:48:09.87 ID:XcfkH6Ru0
兎角「……」
氷影「安心なさい、一之瀬晴ちゃんには手を出していないから」
アパートの部屋が割れている以上、この女は恐らく晴の居場所も突き止めている筈だ。
もしや、自分が家を出たタイミングで手を出されていたのかもしれないと、視線を後ろへと向けている。
兎角「……目的はなんだ。お前の、お前達"ミョウジョウ"の目的は」
氷影「さぁ。残念ながら私には分からないわ。だって、貴女を殺すのは私自身のやりたい事だから」
兎角「何、だと?」
氷影「美しいモノが目の前にあったら、壊したい性分なの。……ね、貴女みたいに鋭い刃物みたいな美しさ何て滅多に見ないわ。でも、ソレをその野蛮さが邪魔をしている。」
左肩の、傷痕を抉り返された痛みは思わずピクピクと左の指先が痙攣するほどのモノとなり、実質これで左腕は完全に潰された。
右手は何とか動くが、それ以前に先ほどから続く小競り合いで失血が激しく、また走ったせいでフラフラと貧血の様な症状も訪れる。
そしてここにきて、恐らく兎角にとって天敵とも言える"暗殺者"としての技量が同じかそれ以上の相手。
十全の体調だったとしても厳しいかもしれない相手に、こんな状態で戦えと言う。
兎角「(……"世界は、赦しに満ちている"。そう、晴は答えた)」
ふざけている、そう兎角は口癖のように吐き捨てる。
赦しなど、自分にはやはり必要が無い……とまでは言い切り難いが、少なくとも自分に向けられる言葉では無い。
取り落としそうになっていた右手のナイフを握り直す。
左手の裂傷を、無理やりに止血する為に添え木を締め付ける更に強く締め付ける。
どちらにせよ、自分には時間が無い。
兎角「なら、お前はここで叩き潰すだけだ」
氷影「そう。ズタズタに切り刻んだ先に、きっとその野蛮な瞳も穏やかになるわ。」
闇夜に紛れる暗殺者達は、互いの技術と力をぶつけ合う。
赤い瞳はゆらゆらと揺蕩い、青い瞳は真っ直ぐに視線を鋭く尖らせていく。
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