過去ログ - 【けいおん!】灰色グレーを味方につけて。
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1:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/15(金) 00:04:22.31 ID:9Umu7GdaO
チャイムが鳴ると一気に学校の中は放課後モードに入る。

私はザワザワとザワつく教室の中、いつも通りを装いつつ、鞄に教科書とノートを綺麗にゆっくりと、
別に時間稼ぎなんてしてないからな、ってぐらいそれはもう丁寧に入れる。

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2:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/15(金) 00:05:52.24 ID:9Umu7GdaO
本当に時間稼ぎはしてないんだっ、今ごろ部室を飾りつけしてるのかなとか思ってないんだからなっ、今日のケーキもムギが持ってきてくれたのかな、とか、そんな、ウキウキとか、してないんだからな、むしろ、歳とってすっごいカラダだるいし、だるいというか年末年始のアレコレで体重が......ううん、今日はそういうの無しだから、ケーキとか食えないとか思ってるわけないんだからなっ、今日のケーキのために昼ご飯はママに頼んで少なめになんてしてないんだからなっ!

そろそろ律か唯かムギが私を迎えに来るのかな、と思ったら、予期せずにクラスメイトに名前を呼ばれた。

「澪ちゃーん」
以下略



3:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/15(金) 00:06:32.70 ID:9Umu7GdaO
そう言って私を囲む2年1組の、1年間和だけが友達だろうと思っていた私に辛うじてできた友達と言えそうな仲の良いクラスメイト4人が、声を合わせて、友達どーしで祝おうとしてる私たちマヂ青春かわゆす☆みたいなノリで、あまりにも簡単にその台詞を言おうとする。

ちょっと待て、マジかお前たち、いや、それを言われるのは嬉しいんだけど、それを私が言われたい4人は他にいるっていうか、視界にめっちゃ火のついたローソクさしてあるケーキ見えててんんあああああああああああああああ!!!

「「「澪ちゃん」」」
以下略



4:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/15(金) 00:07:13.93 ID:9Umu7GdaO
「ちょっと待ったーー!」

そんな声とともに教室のドアがピシャーンと勢いよく開かれて、涙でウルウルきていた私も、驚いて台詞を言うのを止めた彼女たちも、そちらに目を奪われた。

「ふえっ?」
以下略



5:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/15(金) 00:07:46.66 ID:9Umu7GdaO
走っているからなのか、ムギが腕を掴んでいるからなのか、危うくムチウチになりかけたからなのか、それとも祝いの席でムギが言うところの灰色的ポジションに攫われてしまったからか、胸がドキドキして、どうしようもない。
いや、わかってる、わかってるよ。
胸がドキドキしてるのは、走ってるからでも、ムチウチのリスクにさらされたからでも、祝いの席をブッチしてしまったからでもない。

私の、まるで悪役に襲われた一般市民が完全無敵のヒーロー、だけど、ムギが言うにはヒーローではなく灰色、を呼ぶ時のような、そんな心の声に応えるように
以下略



6:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/15(金) 00:08:18.07 ID:9Umu7GdaO
私の腕は未だにムギに掴まれてて、ムギがどこに向かって走ってるのかなんて教えてもらってなんかいないのに、その行く先がわかってしまっているから、その腕を引いてもらう必要なんかないのに、どうしてだか、もういいよ、って言えなくて、もう少しだけ、ムギにこうやって腕を引っ張られて、連れさらわれていたくって。

ムギがチラリと振り返って、私を見た。

私はその時どんな顔をしていたんだろう。
以下略



7:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/15(金) 00:08:50.87 ID:9Umu7GdaO
部室の前の踊り場まで階段を駆け上がった。
ふたりとも息がキレて、肩で息をして。
ムギがその時になってようやく掴んでいた私の腕を名残り惜しそうに放して、私の腕は自由を取り戻したけど、もう少し、ムギの胸の感触を堪能していたかったなと思ったり思わなかったり。いいだろ、別に、こんなこと思っても。誕生日なんだし。私の方がムギより歳下なんだし。

私は息を整えながら、階段に座る。はい、これ、と言いながら私のバッグを私の横に置き、そのままその横にムギが座った。
以下略



8:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/15(金) 00:09:25.18 ID:9Umu7GdaO
「私、本当にちょっと困ってて、どうしようってなってて、誰か来てくれないかなって思ってたんだ......ほら、誕生日祝ってくれるのに、その、祝われたくないって、そんなこと思ってるなんて知られたら、人間関係うまく行かなくなるし、どうせ後少しでクラス替えだけど......」

「澪ちゃんでもそういうこと思うんだね」

「そ、それは......思うよ」
以下略



9:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/15(金) 00:09:53.40 ID:9Umu7GdaO
私の目をジッと見てそういうムギに思わず頬がカァァァと熱くなって、私はコクコクと顔を上下して、ムギに「わかった」と伝えた。

伝えたのにムギはニコニコとしてまだ私の口を塞ぐ手を外してはくれなくて、むしろ、私にさらに顔を近づけて、耳元で、ふふっと笑い、そして

「さっきの質問返事してあげるね」
以下略



10:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします
2016/01/15(金) 00:10:23.42 ID:9Umu7GdaO
後日、気絶した私を誕生日席に座らせたまま行われたけいおん部の誕生日会の様子を、律がおもしろおかしく写真を見せながら話してくれた。

「なんかさ、最近気になってるんだけど」

「ん? なんだよ」
以下略



11:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage]
2016/01/15(金) 07:11:16.37 ID:4Anxkio0O
ああ、今日澪誕生日だったね、忘れていたよ


12:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage]
2016/01/15(金) 09:33:28.99 ID:4IU+/5Rbo
澪誕乙


13:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage]
2016/01/15(金) 15:44:16.90 ID:EvV4/0qZO



14:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします[sage]
2016/01/15(金) 22:54:10.69 ID:L7eoNlXF0
つづきはよ


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