96:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:55:06.17 ID:NYPOpsNEo
そう言ってあかりちゃんは私に笑いかけた。
……なにそれ。
と私は叫びそうになった。
半分本気であかりちゃんに腹が立っていた。
97:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:56:04.31 ID:NYPOpsNEo
私はあかりちゃんの顔を見る。あの時と同じ横顔。
憧憬と諦観が入り混じった、それでいて穏やかでまっすぐな顔。
いつもとは違う横顔。
あかり「だけどちなつちゃんはあの空に、あかりを見つけ出してくれた。
98:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:56:46.95 ID:NYPOpsNEo
ちなつ「はぁ……あかりちゃんって、ほんとバカ」
私は大きくため息をついて、ベンチから立ち上がった。
そうして後ろで手を組んで、あかりちゃんの方へ振り返って、続ける。
99:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:57:49.52 ID:NYPOpsNEo
あかりちゃんの表情は分からない。私は振り返りもせずに、空を仰ぐ。
ちなつ「星空だって同じだよ」
ちなつ「星の光が地球に届くまでには、気が遠くなる程の時間がかかるから」
100:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:58:43.69 ID:NYPOpsNEo
二回目の告白。
だけど今後はさっきの告白とは違う。
ただ想いを伝えるだけの告白ではなく、
101:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 01:59:38.12 ID:NYPOpsNEo
*
epilogue
――時が流れた。
102:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 02:00:08.55 ID:NYPOpsNEo
ちなつ「最後だし、今まで使わせて貰ったお礼に、めいっぱい綺麗にして帰ろうね」
さっき自分が言ったことも忘れて、そんな言葉を口にしながらテーブルを磨いていく。
ごらく部の片付けは卒業式の日にしようと決めていたので、まだ部室には私たちの私物がいくつも残っていた。
103:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 02:00:38.90 ID:NYPOpsNEo
ちなつ「まぁ、私はあかりちゃんとずっと二人の方がよかったんだけどね」
あかり「もう、ちなつちゃんったら。合格発表の日なんか、私より喜んでたくせに」
ちなつ「うっ……それはあかりちゃんと同じ高校に通えるのが嬉しくて」
104:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 02:01:22.68 ID:NYPOpsNEo
だけどそれは今更悔やんでも仕方ないことだ。
強情で、一度こうと決めたら譲らない私は、その悪癖の代償に、きっとたくさんの美しいものを見逃してきたのだろう。
それでも私はあかりちゃんを見つけることができた。
一番美しいものを捕まえることができた。
105:名無しNIPPER[sage saga]
2016/01/30(土) 02:02:20.54 ID:NYPOpsNEo
箱を開けると、
桜が舞った。
三月のまだ冷たい風に吹かれて、桜色の花びらが、ハラハラと舞い上がった。
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