31:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 21:41:59.60 ID:eROB17h/0
「――た、貴音っ!?」
目を輝かせた貴音が、春香の後ろにズーンって立ってた。
「さぁたぁあんだぎぃを響の家で作ると、春香よりお聞きしました。
32:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 21:44:46.37 ID:eROB17h/0
「先生ー! 生地を混ぜ終わりましたー!」
「はーい。それじゃあ、ボウルに入れたままでいいから、冷蔵庫に入れといて」
「分っかりましたぁー!」
33:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 21:49:13.00 ID:eROB17h/0
えっ? と言って、春香は小首を傾げた。
それまで油鍋の中を食い入るように見ていた貴音も、ふと顔を上げた。
「作るのは簡単なんだ、サーターアンダギーって。
でもね――美味しく作るのは、この先どれだけ時間があっても、難しいと思う。
34:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 21:51:51.83 ID:eROB17h/0
えっ――?
「響ちゃん――」
ハッと思って顔に手をやると、涙で濡れていた。
35:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 21:54:44.88 ID:eROB17h/0
『恐れていた事態が起きてしまいました、我那覇選手!』
『今まで良い調子でプレーを重ねていただけに、ここのミスは痛いですよ。
挽回する余地が十分にあるとも思えません』
36:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 21:57:14.49 ID:eROB17h/0
「変わった格好してるねぇー、君。ガールスカウトか何かかい?」
いや、そうじゃないけど――。
タクシーの運転手さんには適当に相づちを打って、自分は必死に持ち物を漁った。
何か、何か場所が分かるもの――!
37:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 21:59:29.26 ID:eROB17h/0
「早く、早く! もっと飛ばすさー!!」
「いやーそう言われても、この辺はオービスが多くてねぇ。
それより君、ちゃんとシートベルトしてるんだよね?」
38:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 22:08:15.29 ID:eROB17h/0
「あっ、響ちゃん! ちょっと、ねぇ響ちゃん!」
ん、誰っ!? 自分、今すっごく忙しいん――。
「――あっ、ディレクターさん! どうしたんさーこんな時間まで!?」
39:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 22:12:54.33 ID:eROB17h/0
「ウフフ、ウソが下手ねぇ、響ちゃん」
「えっ――」
「実は、今日の現場ね――まるでおシゴトにならなかったのよ」
40:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 22:16:05.28 ID:eROB17h/0
「そんな――自分、良い子なんかじゃないぞ! 本当にもう、続けられないんだ。
いきなりそんなワガママ、聞いてもらえるわけ――」
「元々、響ちゃんありきの番組なのよ。
響ちゃんがやれないっていうのなら、アタシ達はそれに従うだけ」
41:名無しNIPPER[saga]
2016/02/03(水) 22:24:29.99 ID:eROB17h/0
肩をコキコキと鳴らす。
髪もキュッと結い直して、と。
そうそう、山道だから膝も十分にほぐしておかないとね。
67Res/58.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。