27:名無しNIPPER[sage saga]
2016/02/10(水) 05:57:31.23 ID:/p0Ll9udO
「アンパンマン、ちょっと今日はお前に話があるんだ」
「話って?」
「悩んでることがあるんだろ?俺様なら、お前を助けてやることが出来るぞ」
「なんだって……」
「お前は、悪の心が怖いんだろう」
僕は一瞬で、辺りの音が全然聞こえなくなった。
「悪の心」というばいきんまんの声が、僕の頭の中を鐘のように響き渡って体を揺さぶる。
しょくぱんまんが険しい顔でなにか叫んでいるようだけど、僕の耳には届かない。
「俺様なら、その悪の心を押さえ込むことが出来る。
だから、ついてこい」
しょくぱんまんは、きっと騙されちゃ駄目だと叫んでいた。
僕の心だってそう叫んでいたし、風はさっきよりも冷たく、僕に体当たりをした。
なのに、分かっているのに、僕はばいきんまんの話をもっと聞いていたくなった。
「悪の心を押さえ込むって、どうやるの?」
「へへーん、俺様の作った装置なら簡単なのだ!
ほら、あっちの方に置いてきたからついてこい」
「……うん」
今の僕にはばいきんまんの声しか聞こえない。
ばいきんまんの声はいつもより優しそうで、自信に満ちていて、僕にはないものを持っているようだった。
その後ろ姿を追いかけて、僕はしょくぱんまんを残して飛んでいった。
「アンパンマン!」
僕には、なにも聞こえなかった。
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