310: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 00:51:32.48 ID:8i5gGj6YO
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暗い空の色は、黄昏時からめざめの薄陽を消したときのような、夕暮時が蒼ざめたときのような、重苦しいものだった。
311: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 00:53:15.27 ID:8i5gGj6YO
胡桃はライトを消し、反対側のバリケードまで歩いていった。バリケードによじ登ると、スマートフォンを取り出し音量を最大にして音楽を再生した。太郎丸の足跡がある階段まで戻り、バリケードの上部から反対側をのぞきこむと、“かれら”はスマホから流れる音楽に誘われてバリケードのもとに集合していた。
音楽が流れているせいもあってか、“かれら”の動きは何処となく踊りを思わせるところがあった。その緩慢な動作は滑稽さを感じさせるには十分だったが、胡桃は表情をいっさい変えることなく、二階を通過し一階へ降りていった。
312: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 00:54:58.03 ID:8i5gGj6YO
一階倉庫隅のシャッターが机に阻まれ、七〇センチほど開いている。胡桃がライトをかざすと、犬の足跡が浮かびあがった。足跡は地下へと続いていた。胡桃はシャッターをくぐり抜けた。
地下への通路は灯りがほとんどなかった。頭上にあるいくつかの光源が、避難区域への通路が水浸しになっていることを教えていた。胡桃は通路へと続く階段をおり、“かれら”が潜んでいる場合に備えてサイリウムを一本放り投げた。
313: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 00:56:19.68 ID:8i5gGj6YO
胡桃は柱に身を隠した。足音から察するに“かれら”ではなく、“かれ”または“かのじょ”であることは明白だった。胡桃は、いままでと同じようにシャベルを振るえば“かれ”または“かのじょ”はすぐに動かなくなると思った。むしろ胡桃が心配したのは、自身のことより太郎丸のことだった。太郎丸がこの人物、かつてひとだったものに遭遇していなければいいと願った。
足音がサイリウムの側まで近づいてきた。いまだ緑色の光を放つそれが、足音の正体を照らした。その正体は“かのじょ”だった。
314: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 00:59:41.19 ID:8i5gGj6YO
ーー放送室
ペラッ...
315: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 01:01:50.14 ID:8i5gGj6YO
永井 (塗りつぶされている箇所はあるが、それでもこのマニュアルに書かれていることは重大な価値を持つ)
永井 (食糧や救急物資の存在より、感染症の種類と事態の原因とおぼしき企業、関連組織の名前が判明したのは大きな収穫だ)
316: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 01:04:03.47 ID:8i5gGj6YO
チョン...
317: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 01:06:07.92 ID:8i5gGj6YO
永井「僕は亜人だ。死ねば治るよ」
美紀「っ……!」
318: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 01:08:59.92 ID:8i5gGj6YO
由紀「……そのケガ、くるみちゃんのせいなんだよね?」
永井「それがなんだよ?」
319: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/06/08(水) 01:14:24.66 ID:8i5gGj6YO
永井「なに言ってるんだ……? 自分が言ってることをちゃんと理解してんのか?」
美紀「せ、説明はむずかしいけど……わかってるつもりです! とにかく手当てしてください」
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