452: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:33:54.49 ID:nHMOffOiO
それをきっかけに、胡桃にむかっていた“かれら”は一斉に黒い幽霊のほうを向いた。“かれら”にできたのは、それだけだった。黒い幽霊に対して、“かれら”は悲しくなるほど無力だった。
幽霊は鉄板の柄を両手で握った。ゆっくりと持ち上がる鉄板が、十メートルにもわたる異様な長さを見せたとき、胡桃はその鉄板がなんなのかわかった。それは、墜落したヘリコプターのメインローターだった。
453: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:35:28.53 ID:nHMOffOiO
“かれら”の頭部が雨のように降り注いでくる。地面についた瞬間、“かれら”の頭部はスイカのように割れてしまった。二十を越える切断された頭部が空から落ちてくる。胡桃はへたり込んだまま、頭の雨をただ呆然と見ているしかなかった。
しかし、幽霊の行動はそこでおわりではなかった。黒い幽霊の動作はまだ連続している。幽霊は、こんどはメインローターを真っ直ぐ上に持ち上げた。天に伸びる分厚い剣のうしろで黒い粒子もまた天に昇っている。胡桃は剣が振り下ろされる場所がどこなのか、瞬時に悟った。
454: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:36:11.98 ID:nHMOffOiO
胡桃「なに……なんなの……」
自失している胡桃の前に一台の車が停まった。その赤い自動車は胡桃のよく知っているものだった。助手席側のドアが開いて、運転手の顔が見えた。
455: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:46:47.09 ID:nHMOffOiO
>>442 の前にあるはずの文章が抜けてました。1レス内に収まりきらないので、二つに分けて投稿します。
ーー巡ヶ丘市内
456: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:47:19.77 ID:nHMOffOiO
警察署への道筋は、駐屯地から学校への航空ルート上にはなく、反対方向だったので永井は車で移動していた。警察署へ続く大通りは、玉突き事故で衝突した何台もの自動車と横転したトラックの荷台から放り出された大量の土砂に埋められ、とても車が通れる状態ではなかった。いっそのこと車をどこかに隠し、警察署まで歩いていこうかと永井が考えていたとき、地盤が沈んだかのような鈍い衝撃音が車体を揺さぶった。
永井は車から降り、音のした方向を見やった。もうもうと黒煙が猛り上がるその場所は、巡ヶ丘学院高等学校であることが永井にはすぐにわかった。
457: ◆8zklXZsAwY[saga]
2016/07/21(木) 00:51:42.72 ID:nHMOffOiO
今日はここまで。更新に時間がかかってすみません。
458:名無しNIPPER[sage]
2016/07/21(木) 01:36:43.08 ID:2X+ZTyJXO
乙
おいおいカッコ良すぎかよ
459:名無しNIPPER[sage]
2016/07/24(日) 20:02:20.25 ID:FZvH/ABwo
乙乙
460:名無しNIPPER[sage]
2016/07/29(金) 23:07:20.45 ID:zQRN2OhcO
乙
461:名無しNIPPER[sage]
2016/08/10(水) 07:22:28.94 ID:ZtLcOOKEo
エタらない事を祈ってます
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