過去ログ - 桃子「家族になろうよ」
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2:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:10:48.37 ID:2LZbuCOD0
「んー? ちょっと考えごとしてるの」
ちらっとプロデューサーのほうを見た桃子は、またしげしげと自分の指を見るのに戻った。次に見ているのは左手であった。
「それって深刻なことか?」
「まぁ深刻っちゃ深刻かな。 私の一生を決めることだし」
プロデューサーも一緒に悩んでみる? とそう付け加えた。


3:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:11:45.00 ID:2LZbuCOD0
中学校に入学する時、桃子は自分の一人称を「桃子」から「私」に変えた。
最初は長年染み付いた呼び方が抜けず、「もも、……私は……」となっていたが、今ではそんなこともない。理由は「中学生になるってのに、自分の名前を自分で呼んでたらぶりっ子のイタイ子って思われちゃうの。 ……それに、もう自分で呼ばなくてもいいから」とのことだった。じゃあ今でも自分のことを「ミキ」と呼んでる星井さんはどうなるのかと聞いてみたら、「美希さんはいいの。 なんかもうあれが"星井美希"って感じだし」と答えてくれた。
言ってる意味は分からなかったが、星井さんを見てみると、確かに説得力がある言葉だった。


4:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:12:13.47 ID:2LZbuCOD0
そしてその時からだ。今まで「お兄ちゃん」と呼んでたのが、「プロデューサー」に変わったのは。理由については、「……教えてあげなーい」とほっぺたをハムスターのように膨らました可愛らしい姿でそう答えてくれた。一人っ子だったので、今までに呼ばれたことのない「お兄ちゃん」という呼び方は意外と気に入っていたのだけれも。


5:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:12:54.53 ID:2LZbuCOD0
「ほう。 で、どんなことで悩んでるんだい、桃子は」
言うてみい言うてみい、と言うようについでに手をくいくいっと動かす。
本当に進行な悩みなら桃子は「悩んでる」とは言ってくれない。
視線を合わさず「別に。……何でもないよ」とどこかへ行ってしまう。
悩んでるよ、と言ってくれる時の悩みは、桃子の場合は言葉通り深刻なことではあることはないのだ。


6:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:13:14.52 ID:SNE+alHzo
もうちょい改行入れてくれると読みやすい


7:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:14:52.93 ID:2LZbuCOD0
「何貰おうかなーって思ってさ。 ほら舞台の打ち上げの時に言ってくれたやつ」

「なんだよ、そんなことで悩んでたのか。 何でもいいって言ってるだろ」

「うーん」
以下略



8:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:16:26.12 ID:2LZbuCOD0
「……指輪って」

「だって琴葉さんも育も、自分のプロデューサーさんから貰ったことあるって言ってたよ」

そりゃあの2人のプロデューサーが特別なだけだと、桃子のプロデューサーは心の中で同僚2人の顔を思い浮かべる。
以下略



9:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:17:29.03 ID:2LZbuCOD0
「お前、まだ15歳だろうがよ」

「今年の誕生日で16歳だもん」

いつの間に目の前に移動してきた桃子が、そう言う。
以下略



10:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:18:53.94 ID:2LZbuCOD0
「お、俺は……」
自身の胸にプロデューサーは聞いてみる、自分が桃子のことをどう思っているのかを。
好きか、嫌いかで言われたら好きだ。
それは間違いない。
でも好きにもいろいろあるわけで、俺が桃子への愛は保護者としてのそれなのか、それとも特別な相手へのそれなのか。
以下略



11:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:21:13.14 ID:2LZbuCOD0
この子の家庭事情については理解しているし、それでも前に進むこの子を支えたいと思った。愛情が不足していたこの子に自分が与えられるだけの愛情を注ごうと、そう思った。
それならやっぱり保護者として好きなのだろう。
だけれども、そう心の中の自分が言い返す。

脳内会議は踊る。自問自答は続く。
以下略



12:名無しNIPPER[sage]
2016/03/22(火) 05:22:42.87 ID:2LZbuCOD0
「あっはっはっはっ、もうダメ……。 プロデューサーってば、そんなに真剣に考えてくれたの?」
胸のほうから笑い声が聞こえてくる。
桃子の笑い声だった。
笑いすぎたからなのか、目元の涙を拭って、必死に口元を抑えて笑いを堪えようとするが、どうにも上手くいってないようだった。はたと、プロデューサーは気づいた。

以下略



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