61: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:00:16.40 ID:vxIFxQsM0
それをきっかけに、緩やかにではあるが高校生組や大人組との交流も深まっていった。
彼女は別に、自発的に話そうとしないだけで、言葉も通じれば、冗談だって話すのだ。
62: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:02:05.47 ID:vxIFxQsM0
いつだったか、俺が営業から帰ってきたときに、佐城雪美に影響を受けたのか、メイド服姿の彼女と鉢合わせたことがある。
しかもそのメイド服というのが、ヴィクトリアンメイド型のしっかりとしたもので、ご丁寧にホワイトブリムまで揃えていた。
63: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:03:47.05 ID:vxIFxQsM0
それに味を占めたのか、またあるときの彼女は、網目の粗いバニーガール姿に身を包んでいた。
デスクワークをしていたら唐突に事務所の扉が開いて、そこから真顔のバニーガールが入ってきたときの俺の気持ちも汲んでほしい。
64: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:05:55.53 ID:vxIFxQsM0
のあ「貴方からは私がなにに見える? ……ひと? ……兎?」
ある雑誌の特集で、モデルが色んな動物の格好に扮して撮影するという企画があって、彼女にふられた動物は、兎だった。
65: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:06:57.88 ID:vxIFxQsM0
さらに季節は幾つも巡り、彼女の勢いは衰えることもなかった。
あれだけ懊悩していた日々が、遠い過去に消えてしまったのではないかと思えるほどだった。
66: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:07:54.27 ID:vxIFxQsM0
それはまさに、心ここにあらずといった様子だった。
P「高峯」
のあ「…………」
67: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:09:04.93 ID:vxIFxQsM0
のあ「……ひとつ、わからないのだけど」
のあ「……私は、ちゃんとアイドルになれているかしら」
68: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:10:09.16 ID:vxIFxQsM0
自分はアイドルになれているか。
彼女のその言葉には、不安が滲み出ていた。
69: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:16:59.61 ID:vxIFxQsM0
ふと、仕事用の携帯に着信が入る。
こんなときに誰からだろうと思いながら、着信画面に記された番号を見て、なにかの間違いじゃないかと思った。
70: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:18:09.10 ID:vxIFxQsM0
「……もしもし」
柔らかな声が、耳朶を打つ。
71: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/03/25(金) 03:20:06.54 ID:vxIFxQsM0
もう何年も入っていない喫茶店に入る。
あまり広くもなければ、変に趣向を凝らしてあるわけでもないその店は、記憶の中の風景のままだった。
117Res/62.14 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。