1: ◆C2VTzcV58A[saga]
2016/04/06(水) 00:09:52.04 ID:euOV6e0mO
ある日の昼下がり。
事務所の一室で、俺は近々アイドルたちに受けさせる予定のオーディションの資料をチェックしていた。
「……ふう」
部屋にいるのはもうひとり。少し離れたところにあるソファに座って、大石泉が愛用のノートパソコンとにらめっこをしていた。
カタカタと小気味よく鳴るキーボードの音と、書類がぺらぺらとめくれる音。あとは時々お互いの息遣いが聞こえるくらいで、とても静かな時間だった。
この時間はいつも、誰かしら元気な子がいることが多いので、こういう状況はなかなかに珍しい。
「………うーん」
そして、静かな空間だからこそ、泉が時折悩ましげにうめいていることや、いつもよりキーを叩く速度がゆっくりなことがよくわかった。
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