11:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:28:02.10 ID:IXgA3K/jo
  
  嘉山の表情に、混乱が兆した。 
  
  目に見えて何かが変わったというわけじゃない。 
  それでも、一瞬で、雰囲気ががらりと揺れ動いたのがわかる。 
12:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:28:38.15 ID:IXgA3K/jo
  
  めまいに襲われたように、嘉山のからだは揺らめきはじめる。 
  俺は声も出せずにその姿を見つめていた。 
  
 「あの日、葉羽は……」 
13:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:29:08.24 ID:IXgA3K/jo
  
  嵯峨野は、何かをあきらめるような顔をした。 
  
 「どうしてかは知らない」 
  
14:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:29:38.12 ID:IXgA3K/jo
  
  暴れるように、嵯峨野の体を、嘉山は押し続ける。興奮した様子で、頭をぐらぐらとさせながら。 
  
  嵯峨野は静かに、 
  
15:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:30:13.18 ID:IXgA3K/jo
  
  俺は思わず声をあげて、嵯峨野の体を持ち上げようとした。 
  
  引きずられるように、体が持っていかれる。 
  
16:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:30:56.57 ID:IXgA3K/jo
  
 ◆[Remit as yet no Grace] 
  
  
  何もかもが遠く聞こえる。 
17:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:31:26.40 ID:IXgA3K/jo
  
  ――急に視界が開けた。 
  
  白っぽい光に目が灼ける。 
  物と物との境界線があいまいになった視界が、徐々に輪郭を取り戻す。 
18:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:31:54.85 ID:IXgA3K/jo
  
 「どうしたんですか、タクミくん?」 
  
  子供の姿で首をかしげて、彼女は俺を見ている。 
  くりくりとしたいたいけな瞳が、俺の顔をすぐそばから見つめている。 
19:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:32:21.56 ID:IXgA3K/jo
  
  俺は、水の中から体を出した。 
  水着一枚の自分のからだは小さな子供そのもので、妙な心細さを覚える。 
  
 「休憩ですか?」 
20:名無しNIPPER[saga]
2016/04/06(水) 00:32:48.06 ID:IXgA3K/jo
  
  どこか遠い、誰かのはしゃぎ声。 
  楽しそうな笑い声。 
   
  ウォータースライダーから、水に飛び込む音。 
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