127:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:13:04.85 ID:XpbS07Gqo
「風邪、治ったらさ」
「……はい?」
128:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:13:30.77 ID:XpbS07Gqo
あ、と、彼女は何かを思い出したように声をあげた。
「そういえば、タクミくんに言うの忘れてました。一緒に海に行きませんか?」
129:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:19:03.88 ID:XpbS07Gqo
「まあ、風邪が治ったらの話ですけど」
「……うん。行く」
130:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:19:29.73 ID:XpbS07Gqo
「……タクミくん、ひょっとして、眠いです?」
「少しだけ」
131:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:19:56.13 ID:XpbS07Gqo
本当に眠るのが怖かった。どうしてなのかも分からない。夢がさめてしまいそうな気がしたからかもしれない。
意識は熱でただでさえぼんやりしていて、そのせいで俺は夢見心地だ。
どこか現実感のない視界。
132:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:20:26.48 ID:XpbS07Gqo
宮沢賢治の全集。「よだかの星」だ。
「……本、読んでたの?」
133:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:20:58.41 ID:XpbS07Gqo
◇
その日、小鳥遊こさちが夢に出てきた。
134:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:21:49.80 ID:XpbS07Gqo
こさちは屋上のフェンスの向こう、縁に座り込んで素足をぶらぶら揺らしていた。
俺はフェンスの内側にいた。
「藤宮さんはいい子ですよ」
135:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:22:16.10 ID:XpbS07Gqo
「はい。なんとなくですけど、そんな感じがします」
「はあ」
136:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:22:52.79 ID:XpbS07Gqo
「……最後に会ったとき、忘れてくれって、言ってたよな」
「はい」
137:名無しNIPPER[saga]
2016/04/23(土) 23:23:32.70 ID:XpbS07Gqo
「……ごめん、さっぱり意味が分からない」
「でしょうね。でもこさちは、ずっと先輩に会いたかったんです」
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