370:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:53:47.29 ID:Fxr7uh8Eo
◇
どんなふうに過ごしていても時間は流れる。
楽しくても苦しくても、何もかもが過ぎていく。
371:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:54:19.67 ID:Fxr7uh8Eo
◇
夏祭りからの帰り道、るーを家へと送りながら、俺はこれまでのことを思い出していた。
372:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:54:46.61 ID:Fxr7uh8Eo
「ねえ、るー」
「なに?」
373:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:55:16.10 ID:Fxr7uh8Eo
そんなことを考えているうちに、るーの家に着いてしまった。
彼女はそこで立ち止まって、こっちを振り返る。
374:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:56:10.49 ID:Fxr7uh8Eo
至近距離からこちらを見上げる、るーの顔。
それをまだ、不思議だと感じてしまう。
奇跡みたいに思えてしまう。
375:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:56:36.99 ID:Fxr7uh8Eo
「……あの、タクミくん」
「……なに」
376:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:57:03.58 ID:Fxr7uh8Eo
◇
新学期になって、俺とるーは一緒に登下校をするようになった。
別にどっちが言い出したわけでもなければ、約束をしたわけでもない。
377:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:57:38.12 ID:Fxr7uh8Eo
先の見通しがつかないことも、まだまだある。
それだってどうにか考えて、行動して、やっていくつもりに、いつのまにかなっていた。
笑ったり怒ったり、落ち込んだり相談したり、先のことを計画したりしながら、
378:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:58:18.88 ID:Fxr7uh8Eo
それがどんなにうれしいか、彼女はわかっているんだろうか。
たぶん、わかっていないんだろう。
そんなことを思いながら横顔を見ていたら、彼女は不思議そうに首をかしげる。
379:名無しNIPPER[saga]
2016/05/17(火) 23:58:45.47 ID:Fxr7uh8Eo
打ち付けるような雨粒の音が消えると、世界は嘘みたいな静けさに包まれていた。
濡れたアスファルト、街路樹の葉に留まる滴、影を払うような夏の終わりの太陽。
「きらきらしてる」
380: ◆1t9LRTPWKRYF[saga]
2016/05/17(火) 23:59:20.07 ID:Fxr7uh8Eo
おしまい
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