22:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 22:57:44.18 ID:skFt6CMPo
わたしはケースからギターを取り出して鳴らす。
じゃらん。
アンプをつないでないから音がか細い。
天使たちにはまだ聞こえない。
23:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 22:58:14.96 ID:skFt6CMPo
ねえ、思い出のカケラに
名前をつけて保存するなら
”宝物”がぴったりだね
そう、心の容量が
24:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 22:58:43.15 ID:skFt6CMPo
天使は普通ランダマイズされてる。
けれど、この時間、この場所で、この曲を鳴らすと、なぜかいつでもあずにゃんは降ってくる。
たぶんそれはこれがあずにゃんのための音楽だからなんじゃないだろうかってわたしは思っている。
ある天使は行きつけだった喫茶店のコーヒーの香りとドア・ベルの震動に引かれ、おばあちゃんは愛する我が子の家庭から響く夕食のざわめきを叩き、潮風の匂いのなか暮らした天使は波の音に寄り、野球が好きだった天使はグラウンドの歓声に導かれる。
25:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 22:59:26.17 ID:skFt6CMPo
7
今日のあずにゃんはけっこう原型をたもっていた。
下にいた何人かの天使にがうまくクッションの役割になったようだった。足が一本折れて、腰のあたりで下半身が右に少しゆがんでるってだけ。
26:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 22:59:57.61 ID:skFt6CMPo
こんなふうに天使と手つないで歩いてるところを誰かに見られたりでもしていたらけっこうやばい。
最悪、あずにゃんのことをごにょごにょしたいんだって思われるかもしれない。
実際のところわたしは男の子じゃないし、そんなことにはならないだろうけど、なかには法的に微妙なところがあるなって考える人もいて、でもたいていは死体損壊が適用される。
あるいは倫理観が天使に対しては働かないのかも。これはちょっと逆説的。
27:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 23:00:31.05 ID:skFt6CMPo
わたしたちは校庭に立っている。
あらゆる施設は天使以後厳重な戸締まり体制を敷いている。
もちろん桜が丘女子高等学校だってその例にもれない。
だけど女子高生なら夜の学校に忍び込む方法の1つや2ついつでも頭に入れて置いているものだ。
28:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 23:01:07.84 ID:skFt6CMPo
月明かりが廊下まであふれ出した。
部室内は青白く発光。
白い肌したあずにゃんがぼうっと浮き上がって幽霊みたい。
バリケードには今日部室から出たときに開けた隙間がある。
29:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 23:01:42.38 ID:skFt6CMPo
喋る声にひかれてあずにゃんがわたしのところまでやってきた。
手を開く。
そこには、鳥の羽、なにやらビーズのようなものに、ガラス片。
そしてピック。
30:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 23:02:10.03 ID:skFt6CMPo
8
家につく頃には夜も1時半だった。
わたしが天使に会いに行ってることを知らないはずの両親は就寝前完璧な戸締まりを履行するけど、憂がいつも鍵を開けておいてくれる。憂は朝は一番早いのに夜はたいてい遅くまで起きていて、部屋でTVゲームをしていたりする。
31:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 23:03:32.39 ID:skFt6CMPo
その夜夢を見た。
いつも見る夢。
わたしは沈んでいる。
黒い泥のなかに。
32:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 23:04:00.40 ID:skFt6CMPo
9
ある朝、部室に行くと、天井に大きな穴があいていた。
正確に言うと、天窓に。
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