3:名無しNIPPER[sage saga]
2016/04/17(日) 22:44:58.48 ID:skFt6CMPo
「わたし様子を見てこようかしら」
しばらくあとでムギちゃんが言った。
もちろん残りの3人の頭の中には、ホラー映画なんかだとそうやってひとりで動く子はたいてい殺されちゃうんだよねっていう冗談の結句は浮かんでいたけど、やっぱりみんな黙っていた。
ムギちゃんは、はあ、とため息をついた。
ちょっとかわいそうだった。
「ねえ、そろそろわたし帰らないと。お母様に怒られちゃうわ」
ムギちゃんの家は大金持ちだった。大金持ちの子供はほかの子供たちよりもその分多くの愛情を注がれている。過保護なくらいに。
ムギちゃんは申し訳なさそうな顔してた。
「帰るか」
澪ちゃんが言った。
窓から外をのぞくと、すでに天使たちが降りはじめているようだった。
グラウンドには、下校する生徒の姿に混じって、地面に落ちた天使たちの白い粒が見える。
サッカー部とソフトボール部はまだミニゲームを続けていた。
多少天使が降ったくらいじゃ休みになんないとこがソフトボールのやなとこだよね。いつか隣の席の姫ちゃんがそう言ってた。
日は沈み、闇がゆっくり落ちてきた。
夜は天使たちの時間だった。
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