過去ログ - オッサン勇者と少女魔族が世界を旅する話
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名無しNIPPER
[saga]
2016/04/18(月) 01:12:50.15 ID:ZyCwTMFeo
魔王と側近からは追撃もない。それどころか攻撃を仕掛けられてなお、殺意も敵意さえもない。
(ここまで、差があるかよ……)
羽虫を追い払う程度にしか考えていないのだろうと勇者は捉えた。
しかし、魔王と側近の認識と勇者の認識はほんの少しだけ違っていた。
魔王と側近の実感した勇者の実力は、予測より遥かに高みに位置しており、わずかながら動揺を生み出した。
『二本か。強いな。お前にふた指使わせることができるものなぞ上位魔族にも数えるほどしかおらぬ』
『ああ、なんともったいなきお言葉。望外の喜び。私め如き力量をそのように評していただけるとは』
『事実であろう。そのお前が放った技を身に受け、なお心の臓の鼓動が続いている。身もなんと堅きことだ』
『あの威力の魔力波をニンゲンが身に受けて、原形を留めていることは予想外と言わざるを得ません』
『ニンゲンは弱小種族だと思っていたが。少しばかり認識を改めなければならぬ』
『あのニンゲンだけが特殊なのではないでしょうか』
『かもしれぬな。が、しかし。ニンゲンという種に可能性があることも捨て置けぬ』
確かに魔王とその側近は勇者を脅威には感じていない。
それほどまでに、実力がかけ離れている。あのわずかなやり取りだけでまざまざと見せつけられてしまった。
勇者が十年にも及ぶ旅路で得た経験も、積み上げた研鑽も、励んだ練磨も、努めた鍛錬も、苦痛を経た修練も、この二体の魔族の前では無に等しい事実を突き付けられた。
勇者は回復術を唱えつつ、剣を石床に突き立て杖代わりにどうにか立ち上がる。
眼前の敵を見据え、再度剣を構えた。
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