過去ログ - モバP「楓さんと同じ高校だったら」
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2016/05/03(火) 23:02:20.34 ID:d30ie544O
 早速一限目がおわると、俺は高垣さんにメールを送ることにした。同じ教室なのだから、話しかけて用件をいえばいいのだが、それはなんだか気恥ずかしい。というか、正面切って堂々と、相談があるなんて言ったら、周りに聞かれてしまうだろう。それは避けたい。 
 高垣さんに、昼休みに大事な話があるから、屋上に来てほしい、とメールを送信し、俺は英単語帳を開いた。次は小テストなのだ。勉学を怠ってはモテないって先生がいってた!明らかに勉強させるためだけど、縋る他に術はなかった!わーい!……勉強つまんねぇ。 
  
11:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:02:52.89 ID:d30ie544O
 単語の確認も終え、サイダーを飲んでいると、視線を感じた。向くと、高垣さんと目が合う。ケータイ片手に、顔を赤くすると、彼女は目を逸らした。なるほど、ずっと目線があってると周りに何かある勘繰られるかもしれないからな。俺も相談事を周りに知られたくないし、探りを入れられないようにしたのか。やっぱ高垣さんって女神だわ。しかし今日は暑い、高垣さんは窓際で日が当たるから余計にだろう。現にさっき彼女は顔が赤かった。そんな暑い時にはやっぱりサイダーだな。みつやっぱりサイダー!なんでみつやサイダーって美味しいんだろ……。 
 サイダーの美味さに思いを馳せていると、チャイムが鳴った。 
  
12:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:03:24.58 ID:d30ie544O
 その後、二限目三限目四限目と過ぎ、さてついに昼休みである。決戦の時がやってきた。約束の屋上へと向かうため、教室を出る。この学校は、昼休みのみ屋上が開放されている。しかし、夏場になると人っ子一人もいなくなる。俺は今まで夏場に屋上にいる奴を見たことがない。理由は簡単、クソ暑いからだ。日を遮るものなどないため、太陽光がギンギラギンにさりげなく、いや大分露骨ではあるが、降り注ぐのだ。また当然、床の温度も大変な事になっている。その熱さといったら、学校のプールサイドもかくやといったところだ。 
 暑すぎるという難点をのぞけば、夏場の屋上は人がいない、つまり相談事にはもってこいの場所だ。 
13:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:04:01.52 ID:d30ie544O
 高垣さんは、俺よりも早く教室を出た。即ち、彼女はもう屋上にいるだろう。 
 あまり待たせてはいけないと、階段を一段飛ばしで駆け上がる。 
 屋上へと繋がるドアを開けると、果たしてそこには高垣さん一人だけだった。 
 彼女は、暑そうに片腕をおでこの前に持ってきて、腕を笠のようにして立っていた。ここは日光が眩しい。彼女は、肌の白さも相俟って病的に綺麗であった。 
 こんな風に、たまに高垣さんに見惚れてしまうことがある。さらりと風が頬を撫ぜ、漸く俺は動きだした。 
14:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:04:41.73 ID:d30ie544O
 「はい」 
  
 彼女は顔を伏せた。 
  
 「俺、高垣さんに話があってさ」 
15:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:05:22.06 ID:d30ie544O
 「それで俺、彼女が欲しくてさ。欲しくて、いや、けど誰でもいいわけじゃなくて」 
  
 「はい」 
  
 「だからさ、嫌だったらいいんだけど。できれば、高垣さん、俺と」 
16:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:05:55.59 ID:d30ie544O
 「俺と、どうすれば彼女が出来るか考えてほしい!」 
  
 「はい!……はい?」 
  
 納得がいかない、というより理解が追いつかないといった顔で、彼女は首を傾げた。 
17:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:06:36.20 ID:d30ie544O
 「ふつー、ここまできたら、アレだって思います。期待します」 
  
 みてすぐわかるレベルで、高垣さんのテンションはだだ下がりであった。この言葉を聞く限り、高垣さんは「アレ」とやらを期待していたようだ。彼女は、見返りを求めるタイプではない。だとしたら、いったい何がほしいのか……。ダメださっぱりわからん。こういう時は、素直に聞くのが一番いい。 
  
 「その、アレってなに?」 
18:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:07:14.18 ID:d30ie544O
 「言いたい事は沢山ありますが、まず3つほど」 
  
 「え、いや、アレって「黙っててください」はい」 
  
 高垣さん、怖いよう。こんな事普段しないのに。いつもの駄洒落大好き16歳児を返して! 
19:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:07:50.30 ID:d30ie544O
 「そして最後、三つ目です」 
  
 薬指を立てる。 
  
 「藻場くんの気になってるアレとは」 
20:名無しNIPPER[saga]
2016/05/03(火) 23:08:41.37 ID:d30ie544O
 彼女は、小さく繰り言のように言った。 
 世界から音が消えた。 
 は、え?告白?酷薄ではなく?いやだって酷薄だったら意味が通じない。告白、告白。告白っていうのはあの告白か?罪を告解するほうじゃなくて、あの、男女間でのみ起こり得るアレ。 
 いやいやいやいや、ありえない。だって高垣さんだぞ。高嶺の花にも程がある。彼女が、俺の告白を期待してたって、え?本当に?嘘だ!いや本当であった方がいいけど嘘だ! 
  
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