40:名無しNIPPER[sage]
2016/05/05(木) 00:51:00.39 ID:1EMEuCfU0
ばさ、という音がして屋根にたまった雪が滑り落ちた。
その音を引きがねのようにして、ホームのすぐ側にある踏切の警報機が、かんかんと鳴りだした。
明滅する光が赤く視界の端に映る。
レールのきしむ音が響き、正面のライトが放つ光が私の目を射た。
やがて、うなりをあげて電車がホームへと入って来た。
窓から見える車中の光景。
暖かな光は惜しげもなく、外に洩れて光と影を生む。
扉が開いて、ざわめきを連れて下車の人達が流れ出る。
日曜日の行楽から帰る人達、楽しそうに。
幸せそうに寄り沿う、若い二人。
両脇の両親にそれぞれ片手ずつ手を握られて、ぶら下がるようにしながら歩いて行く子供。
皆、白い息を吐きながら、幸せそうな空気をまとい、改札口へと流れて行く。
顔につき刺さってくる冷気が和らいだような、そんな光景。
そして裏腹に、私の心は深く深く沈んでゆく。
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