過去ログ - 楓「命短しススメよ乙女」
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57:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:48:57.80 ID:6D4QUdRpo

◇ ◇ ◇

美優が出張から帰って来た日の夜、蘭子が泣いた。

以下略



58:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:49:38.04 ID:6D4QUdRpo
楓「美優さん。美優さんはちょっと神経質すぎるんですよ。こんなの子供のちょっとした個性じゃないですか。むしろ個性を認めず、自分の理想通りに子供を矯正しようと思うほうが非道徳的なんじゃないですか?」

美優「な……!?」

楓「そもそも美優さんは蘭子と居る時、何をしてあげてたんですか? 大方、適当にニュースとか見せてほったらかしにしてたんでしょう。良い子にしてるからって、そんな退屈な時間を蘭子に過ごさせるのは可哀想だと思わないんですか」
以下略



59:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:50:14.50 ID:6D4QUdRpo
蘭子「なにごと……?」

隣の部屋にいた蘭子がこちらを覗いていた。
美優のすすり泣く声だけが痛々しく響いている。
楓はきまり悪そうに黙ったまま、目を逸らしてその場に突っ立っていた。
以下略



60:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:51:08.04 ID:6D4QUdRpo
楓「それは私のせいじゃないと思いますけど」

美優「私が居ないからって2人して楽しそうに遊んで! せめて私にもそういう名前を付けてくれててもよかったじゃない! なによ、"わが友"って!」

美優にそんなつもりは一切無かったが、この一言が良くなかった。
以下略



61:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:51:54.46 ID:6D4QUdRpo
蘭子がこんなに激しく感情を顕わにするのは初めてだった。
美優がよしよしと頭を撫でて抱きしめてやっても一向に泣き止む気配がない。
子供の泣き声というのは悲痛なものである。

一方楓は、蘭子の思わぬ豹変にすっかり面食らってしまいオロオロしながら部屋を行ったり来たりしていた。
以下略



62:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:52:25.55 ID:6D4QUdRpo
美優「……眠っちゃいました。泣き疲れたんでしょうね」

しばらく経ってようやく静かになると、美優は安心したように戻ってきた。
楓はなんとなく気詰まりな思いがして黙っていた。

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63:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 21:52:55.27 ID:6D4QUdRpo
楓「そんなこと無いと思いますよ。ただ、蘭子が普通の子供と違うだけです」

美優「……そうね」

独り言のように呟くのだった。
以下略



64:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 22:06:37.75 ID:6D4QUdRpo

◇ ◇ ◇

数ヶ月が経った。

以下略



65:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 22:07:10.76 ID:6D4QUdRpo
外へ連れ出すだけなら難しい事ではなかった。
一応、協会へ申請する決まりになっているが、ドールが所有者の居住範囲から離れた時に所有者のIDOLに自動的に許諾通知が届くようになっているため、煩雑な手続きなど一切する必要がないのだ。

美優たちは単に蘭子を外に出すのを怖がっているだけなのである。
一口に怖いと言っても、その理由は様々だったが。
以下略



66:名無しNIPPER[saga]
2016/05/31(火) 22:07:50.21 ID:6D4QUdRpo
楓「いいじゃないですか。行きましょう。私も暇ですし」

蘭子の顔がパアっと明るくなった。
しかし美優はどこか不安そうである。
「でも……」と言いかける美優の手を、楓はそっと抑えて黙らせた。
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