過去ログ - 提督「荒潮がセックスと言うのだから、朝潮もセックスと言うのだ」
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3:名無しNIPPER[saga]
2016/06/06(月) 04:28:17.34 ID:iz0HsH6m0
世界から断絶され、いかなる意志も存在せず行為にも繋がることがない、ただ言葉として放り出されて究極的に物象化された「セックス」。機械的とも言える音の集合体。

朝潮はそれを無視することも出来たはずだった。実際、駅前の広場にて巨大な「セックス」がオブジェとして置かれていたとしても、朝潮はその「セックス」を認識することさえ無く虚しく通り過ぎ去ってゆくだろう。

しかし、今そのナンセンスな前衛芸術じみた「セックス」を行為したのは朝潮の妹である荒潮であった。荒潮はただ「セックス」と言うためだけに生まれてきた装置ではない。一つの主体的意志を持つ人格として存在が許されている朝潮の妹だ。

その荒潮がただ純粋に「セックス」と言うその意味を考えるに至り、朝潮は胸が締め付けられ泣きたい気分になった。

「セックス」。およそ同じ存在から発せられる言葉とは思えなかった。朝潮には今の荒潮の如く純粋に意志を介入させることなく「セックス」と述べることは不可能であろう。どうしても倫理に基づく心的抵抗を覚えずにはいられないはず。

それは恐らく朝潮がまだ言葉に意味を付与できるからこその羞恥心だった。対し荒潮の精神は世界から切り離されている。それは一種の超然的な静謐さを伴うものであったが、本質的に完全なる無力だった。


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