40:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:46:56.85 ID:b+Qvcd5ho
「……あそこみたいだな」
まだ少し、距離があった。ここから見るかぎり、高台にあるらしい。
あたりには民家が少ないらしく、周囲は林のようになっていて、ここからでは、どこが入り口なのかも分からない。
わたしたちのすぐ目の前は下り坂になっていて、その先には細い川があった。
堤防になっているみたいだ。
少し先に、五メートルくらいの、石造りの橋があった。車が一台通れるかというくらいの、狭い橋だ。
坂を降りてしまうと、付近の民家や周辺の林が邪魔をして、観覧車はまた見えなくなってしまった。
ケイくんは黙ったまま橋の上へと進む。
「ケイくん、ごめんね」
「……なにが?」
わたしの言葉にようやく立ち止まって、彼は振り返った。本当にきょとんとした顔だった。
「……怒ってたんじゃないの? さっきから、返事してくれないから」
「……ああ、聞いてなかった」
平然と言う。わたしはどう反応するべきか、困ってしまった。
怒るべきなのか、ほっとするべきなのか。
心情としてはあきらかに後者だったが、表面的にはむっとして見せた方がよかったかもしれない。
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