過去ログ - 開かない扉の前で
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41:名無しNIPPER[saga]
2016/07/05(火) 23:47:29.28 ID:b+Qvcd5ho

「そんなことより」、と、ケイくんは橋の上で立ち止まったまま、わたしの方をじっと見つめてきた。

「……なに?」

 思わずわたしはからだをこわばらせる。 
 彼にまっすぐ見つめられるなんてことは、ほとんどない。

 いつもは隣に並んで、互いの顔を見ずにいるから、ときどき彼と目を合わせると、わたしは前を見ていられなくなる。
 もともと、人に見られるのが苦手だった。

「一応、訊いておきたいんだけど、もし、噂が本当だったら、どうする?」

 なんでもないことを訊ねるような自然さで、彼はそう問いかけてきた。

「えっと、ミラーハウスの噂が本当だったら、ってこと?」

「そう」

「どうかな。抽象的すぎてよくわからない噂だし、どうするもなにも……」

「本当に?」

 ケイくんの真剣な表情に、わたしは思わず立ち止まって考えこんだ。




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