過去ログ - 開かない扉の前で
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69:名無しNIPPER[saga]
2016/07/10(日) 01:17:51.77 ID:ZjlcYbSYo

「悪い夢でも見てるみたいだ」

 とケイくんは言う。本当にそのとおりだとわたしは思う。
 
 窓も、ドアもない。出入り口はない。……そのうち、酸欠にでもなりそうだ。

 わたしは、正面の鏡へと近付いていく。

「どうした?」

 ケイくんの質問に、振り返る。

「扉のかたちを、してるよね」

 ケイくんは、黙ったままだった。呆れているのかもしれない。

「さっき、女の子が、こっちに向かって消えていった。とにかく、調べてみない?」

 ケイくんは少しの間黙っていたけれど、最後には仕方なさそうに頷いてくれた。
 気持ちは分かる。

 ただの鏡だと思いたい。でも、既に状況はおかしなことになっている。
 その結果自分たちがどうなるのか、分からない。

 でも、他にどうすることもできない。




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