804:名無しNIPPER[saga]
2017/10/24(火) 00:45:28.75 ID:IXxsBwaSo
「――加害者側からの、理屈ね」
不意に、ざくろがそう言った。
わたしは、彼女を見上げる。
塔の上の少女、黒い服の少女、わたしたちをここに連れてきた人、お兄ちゃんを、ここに誘い込んだ人。
「刺した人にどんな理由があったとしても、刺された方は、関係ない。
刺された方は、ただ痛いだけなのよ。たとえどんな理由があっても、刺された方は、血を流すの」
血は流れたのよ、とざくろは言う。
「目の前で、刺された人の前で、あなたは言える? あなたの叔父さんが誰かを刺したとき、その刺された誰かに、そう言える?
"お兄ちゃんにも、理由があったんだ"って。ねえ、言えるの?」
わたしは、だから、やっぱり間違ってるんだ。それは、たしかだ。
「――ねえ、流れた血を贖うものってなんだと思う?」
彼女は、まっすぐにわたしを見下ろしている。
「それはね、やっぱり血なのよ。血は血でしか贖えない。だからね、"血は流されないといけない"」
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