過去ログ - 開かない扉の前で
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88:名無しNIPPER[saga]
2016/07/12(火) 00:24:13.75 ID:r7ZkODrmo

 わたしはケイくんの手をぎゅっと掴む。
 
 これは悪い夢なのだろうか?
 それとも何か、妙なことに巻き込まれただけの現実なのだろうか?

 目の前の大きな扉は、出口なんだろうか。
 それとも、入り口なんだろうか。

 ぜんぶ、わからなかったけど、わたしたちは声も交わさずに頷き合った。

 他に、選べる扉がなかった。
 
 だからわたしたちは、その扉の取っ手を掴んだ。

 開くかどうか、確かめてもいなかったのに、勝手に開くと思い込んだ。
 こちらへどうぞと言わんばかりに、からたちの枝が避けたから。

 そうしてそれは、実際開いた。
 
 不意に、まばゆい光。

 また、視界を覆う。耳が、音に呑まれていく。

"待っててね"、と、光に灼かれた視界の中で、そんな声がかすかに聞こえたような気がした。




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