880:名無しNIPPER[saga]
2017/11/15(水) 23:47:59.78 ID:lNunJpruo
「本当はね」、と、僕は話し始めた。
「今よりほんの少し普通に近い子供だった頃には、未来に対して希望をもっていたことだってあったんだよ」
「本当に?」
「いや、嘘かもしれない」
「どっちが嘘なの?」
「そうだな。つまり、今よりは、希望を持っていた、かもしれない。でも、それは今よりずっとぼんやりとしたものだった」
ぼんやりと……そう、ぼんやりと。
僕は、思っていた。
希望、というよりは、むしろ、欲望のようなものを。
けれどそれは近付けば近付くほど曖昧になってまた遠ざかるような代物だった。
真夏の逃げ水のような。
992Res/853.12 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。