918:名無しNIPPER[saga]
2017/11/24(金) 00:59:12.09 ID:pmjGcbbto
「何がおかしいんだ?」
「ううん。誰かを傷つけた人間が平然としてるのって、おもしろい。それって、もっとなじってほしいって意味でしょう?」
「……すみれの目は」
「なに?」
「すみれの目は、きみがやったんじゃないのか」
「……それがなに?」
「気になっただけだよ。姉の目を抉る気持ちはどんなだろうって」
「……」
「誰かを傷つけた人間。加害者。たしかに、そうだな。べつに、言い訳する気も自己弁護する気もない」
「……」
「でも、審問っていうのは、よくないらしいよ」
「知ったようなことを言う。わたしは"被害者"だよ」
「一面的にはね」と僕は言う。「でも、刺した」
「順番が違う」とざくろは言う。「わたしが最初に傷つけられた」
「滑稽だな」と思わず口に出さずにはいられなかった。
「きみが自分で言ったんだろう。"わたしは時間から解き放たれた"って」
「それでも、"このわたし"を基準にした時間的前後は存在する。それが世界の時間とは異なる意味だとしてもね」
それはつまり、彼女もなんのことはない、僕らと同じ地を這う蟻だということだ。
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