過去ログ - 前川みく「野良猫のお兄さん」
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1:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:12:31.96 ID:LAMqFbcL0
「猫好きに悪い人はいないと思うにゃぁ」と豪語するみくにゃんがPの元に押し掛けるまでのお話です

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2:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:13:20.29 ID:LAMqFbcL0
「前川さん、なかなか売れないねぇ。どうしたもんかな」

優しい声音に、貼り付けたような笑顔。
真面目そうな、うーん、好青年? がみくに声をかける。

以下略



3:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:14:12.37 ID:LAMqFbcL0
「あー、猫、猫ねぇ」

あ、あれ? なんだか反応がよくない?

「動物アイドルって路線はいいけどさ、猫なんて使い古された部分で攻めてもねぇ」
以下略



4:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:15:12.39 ID:LAMqFbcL0
私、前川みくのアイドル活動はなかなかどうして上手くいっていない。

いっちばん可愛い女の子になる、それがみくの夢だった。
可愛い女の子の頂点といえばアイドル、って思って色んな所に応募して、それで合格したのが今の事務所。
もうその頃はウッキウキで、これから前川みく伝説が始まると思っていたけど――
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:16:01.62 ID:LAMqFbcL0
ううん、環境のせいにしちゃいけないよね! 
逆境を乗り越えた先に成功があるんだ、って思ってみくなりに頑張ってきたんだ。
でも――

「前川さんねぇ、確かに可愛いけど、君レベルの子はたくさんいるしなぁ」
以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:17:16.02 ID:LAMqFbcL0
「前川さん、今回もダメだったようですね。どうしたい、とか考えてますか?」

二週間後、みくの前にはメガネをかけたかっちりした印象の人が座っている。
いつものミーティング、いつもの質問。

以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:18:11.07 ID:LAMqFbcL0
でも、それからも二度三度と同じ質問が投げかけられた。
結果が出ないことにイライラして、そして何より、何にもしてくれない社員さんたちにもイライラが募っていった。

「――ということで、なんか質問あります? ないようなら――」

以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:19:16.48 ID:LAMqFbcL0
「前川さん、アイドル辛いですか?」

「……は?」

まるで台本を読み上げるように感情のない声。
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:20:13.15 ID:LAMqFbcL0
ふらふらと寮に戻って、布団に倒れる。
さっきの言葉は、結局どういうことだったんだろう?

最初は、やんわりとアイドルを辞めるように勧められたのかと思った。
でも、それだったらもっと早くにそう言われてるだろうし、あんな遠回りに言うこともない、はず。
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:21:11.46 ID:LAMqFbcL0
ぼやっと目が覚める。

「……あー、あのまま寝ちゃったんだ」

外はうっすら暗くなっている。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:23:13.09 ID:LAMqFbcL0
ひんやりした風が頬を撫でる感触が気持ちいい。
最近はこの時間にお散歩に出るのが楽しみの一つ。
気まぐれで始めたけど、この間素敵なところを見つけたんだ!

寮から歩いて10分と少し、真新しいビルに隣接する公園。
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:24:19.68 ID:LAMqFbcL0
「ふふふ、こんばんは♪」

結構ここに来るねこチャンたちは人慣れしてる。
みくが寄っていっても全然驚かないし、場合によっては向こうからすりすりしにきたりする。

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:25:15.01 ID:LAMqFbcL0
「おーい、猫ちゃんたち、エサだよー」

隣のビルからスーツ姿の男の人がエサやらなにやら抱えて出てくる。
言い終わるか言い終わらないかといううちに、残りのねこチャンたちもパタパタとその人の方へ駆けていった。

以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:26:20.05 ID:LAMqFbcL0
エサの用意を終えたお兄さんがこちらに気づく。

「こんにちは、今日も来てたんだね」
 
「はい! ここのねこチャンたちに会いたくて」
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:27:41.67 ID:LAMqFbcL0
昔からねこチャンが大好きだったみくも、野良猫にエサをやりたいな、って思ったことは何度もある。
でも、お母さんとお父さんにダメだよ、って言われて「なんでなんで」って泣いたこともあったっけ。

そんな私に、野良猫の面倒を見るってどういうことか、懇々と説明してくれたお母さんとお父さん。
ちょっと餌をやるだけ、っていう関わり方がどれだけ無責任で、どれだけねこチャンを不幸にするのか。
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:29:15.26 ID:LAMqFbcL0
「……さて、帰ろうかな」

野良猫のお兄さんが来ると、ねこチャンたちはこっちには見向きもしないしね。
お世話を頑張ってるお兄さんの邪魔も出来ないし。

以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:30:05.97 ID:LAMqFbcL0
オーディション当日。
今日こそ絶対、絶対いけるはず!

「では、1番の方」

以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:31:30.95 ID:LAMqFbcL0
結局、今日のオーディションも惜しいとこまでいったけど不合格だった。
そして、合格したのはあの変な子? だった。

「自分から一番カワイイとか、強烈というか、なんというか……うん、変な子にゃ!」

以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:32:32.03 ID:LAMqFbcL0
「フフーン、プロデューサーさん、見事合格しましたよ。ま、ボクのカワイさをもってすれば当然ですけどね!」

え、ええ、素であんなこと言ってるんだ。
なんていうか、す、凄い……。

以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:33:58.80 ID:LAMqFbcL0
数日後、オーディションの結果を受けていつものミーティング。

「あー、前川さん、今回も――」

「でも、今回も前よりいい結果だったにゃ、だから――」
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2016/07/08(金) 00:35:19.82 ID:LAMqFbcL0


「猫キャラはもうやめません?」


以下略



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