過去ログ - 高森藍子「7月25日。私は、ウサミン星でお散歩をしました」
1- 20
17:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:48:54.36 ID:s0xS1vQx0
自分のウサミミが、何かを伝えるように身じろいだ。

もしかしたらっ、と、手のひらに力を込める。

「ん〜〜〜〜〜〜〜、えい!」
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:49:24.12 ID:s0xS1vQx0
「今度は、あっちに行ってみようっ」

しばらく歩いていると出店を見つけた。覗いてみるとウサミン焼きを売っていた。
食べたいけれど藍子はお金を持っていない。困っているとウサミン星人(案内役)がやってきて、何かあげればウサミン焼きをもらえるとアドバイスしてくれた。
唇に指を置いて、少し、考えて。
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:49:54.06 ID:s0xS1vQx0
「ふふ……♪ あっちのは何だろ?」

少し離れたところに宙を浮く何かがある。小走りで近づいて見ると球体のそれは思ったよりも大きかった。藍子の身体は、球体の影にすっぽりと隠れてしまい、手を伸ばしても指先ですら触れることができない。
思い切って大ジャンプしてみたら、少し、ほんの少しだけ、爪の先端が当たった。
こつん、という乾いた音がした。小惑星を叩い――撫でた時のような音だった。
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:50:54.84 ID:s0xS1vQx0
『おおっと申し訳ない。立てますか?』
「は、はいっ……びっくりしちゃった」

差し伸べてもらった手を掴んで、起き上がって。改めて、少し離れたところから浮遊するそれを眺める。

以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:51:24.05 ID:s0xS1vQx0
□ ■ □ ■ □

「シンボルとかってさ、来た人がすぐ見れる方がいいんじゃない? こう、電車から降りた時にさ、わー! 兎の形だ! ってすぐ分かるようにしたら面白いと思うんだけどなぁ」
「ナナ的にはウサミン星でいっぱい遊んで、その後で見てほしいんですよねぇ。ウサミン星の歴史って感じで! 最初はこう、とにかくスゴイって方がよくありません?」
「菜々ちゃんが言うならそうなのかなぁ……。あ、じゃあさ、最初にウサミン星人がいっぱいお出迎えしてくれるっていうのは?」
以下略



22:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:51:54.81 ID:s0xS1vQx0
「え? え?」

それはウサミン星のシンボル「ウサギ石」を見て、踵を返した時だった。
夜色一色だった空が塗り替えられていく。雲1つない水色が塗りたくられ、何が起きたのかと口を開けていたら今度は夕焼け色に染まっていく。
気がついたらまた水色になって、目を白黒としている間に身体の感覚が1つ増えた。何事かと目だけを後ろ足からお尻の方へと向ける。
以下略



23:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:52:24.18 ID:s0xS1vQx0
「あ、あれ?」

目を拭うと今度は月が4つに増え虹が消えていた。ウサミン星人たちが月に向かって両手を広げて騒いでいる――そこまで見たところで視界がぐるりと回って、雪が降りだして、雨が降りだして、花が降りだした。
月の欠片がぽつりぽつりと降り注ぎ、藍子のポケットに大小自由のウサミミがいくつもしまわれた。

以下略



24:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:52:54.98 ID:s0xS1vQx0
□ ■ □ ■ □

「ストーップ! あのねぇ加蓮ちゃん! 設定は盛るものじゃないんです。ゲームとかマンガじゃないんですから!」
「……ち、ちょっとやりすぎちゃった?」
「いつの間にかノート3ページがぎっしり埋まってますよ!? ナナのウサミン星を魔境にしないでください!」
以下略



25:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:53:24.08 ID:s0xS1vQx0
クリスタルフラワーをじーっと眺めているウサミン星人(子ども)がいた。
好きなの? とかがんで話しかけてみたら、大好きっ、と答えてくれた。
黄金色の月があるだけで、クリスタルフラワーは永遠に咲き続けることができる。ずっと綺麗なままだね、よかったね、と藍子が笑いかけると、うんっ、とウサミン星人(子ども)も笑って返してくれた。



26:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:53:54.15 ID:s0xS1vQx0
「うーん……」

実はさっきからどうしても気になる物がある。散歩に戻ろうとしても、何度も何度も"それ"が頭の片隅を掠める。

「ウサミンさん。いますか?」
以下略



27:名無しNIPPER[saga]
2016/07/25(月) 19:54:54.13 ID:s0xS1vQx0
「……え?」
『さあ、そこは君のステージ! 歌ってごらん♪ みんな聞いてくれますよ! キャハッ☆』
「…………」

ウサミン星人(案内役)の言葉が頭へと直接響く。
以下略



60Res/44.29 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice