50: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/08/02(火) 05:45:19.59 ID:ctIpbkEp0
「気づいてくれてありがとね」
「うん、扉の後ろにいるのわかったからさ」
後輩が悩みを吐露したとき、扉の先に気配を感じたのだ。きっと俺が一番近かったからだろう。
「あっでも、大丈夫。たぶん後輩は気づいてないから」
「あはは! そっかー! よかったー! じゃあじゃあご褒美欲しいでしょ?」
「いや、いらないよ。それは後輩にやってくれ」
「おお! 先輩らしくてかっくいー! じゃあサービスねっ、ちらっ」
スカートの裾を少し持ち上げてポーズを決める宮本さん。意味不明だった。
「どうせなら見せてくれたほうがよかっかなぁ」
「えー、えっちなのはいけないんだよー」
「そう、いけないから見せちゃ駄目だ。……それで話ってこれだけ? もうないなら帰ろうぜ」
宮本さんのペースに合わせていたら終わりそうもない。俺は少しだけ真面目な表情を作った。
「んー、ひとつだけ。カナデちゃんのことよろしくね」
「どういう意味?」
「カナデちゃんにはダンスとか色々教えてもらったんだよねー。でも、そのときずっと悩んでるみたいだったから心配なんだよ。カナデちゃんいつもしょんぼりしてるよね、元気になって欲しいなー?」
きっと、宮本さんには見えている。速水さんの隠した苦痛や苦悩が見えているのだろう。
それに俺のことも。
本当に侮れない。
「ああ、頑張るよ。プロデューサーだからね」
そう答えてみても、確信を持てない自分に辟易した。
◇
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