11:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:35:08.13 ID:k0/bWBKq0
 ただこれ以上は本当に不味そうだ。ムラサキのシャーペンが破壊されてしまうかもしれない。 
  
 「それじゃあ…かなり昔の話からでも…良いっすか?」 
 「もちろん構わない」 
 「じゃあ、千年位前からの話を…」 
12:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:36:12.30 ID:k0/bWBKq0
 コンコン…コンコン…コンコン。 
 ムラサキが奏でるそれは僕の記憶を呼び覚ます何某かの道標になったのかも知れない。 
 脳の片隅に海が広がる。それは太陽の陽射しをキラキラ反射している夏の海の風景だった。 
  
 「…夏休みに…」 
13:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:37:05.33 ID:1/zk8vPV0
 「修行に行ったんです。お祖母ちゃんの家に」 
 「え…?何、君…忍者か何かなの?」 
 「は?違いますよ。何で忍者なんすか?」 
 「いや…修行って言うから…」 
 「は?!修行って言ったら必殺技の修行に決まってるでしょ!」 
14:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:38:28.51 ID:1/zk8vPV0
 「スプラッシュトルネードです!」 
 「え?え?ス、スプラッシュ…?」 
 「スプラッシュトルネード…海をも切り裂くパンチですよ…ムラサキさん…!」 
 「…うわぁ…」 
  
15:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:39:30.51 ID:1/zk8vPV0
 「…君は本当にそれだけの為に、あの海に行ったのかい?」 
  
 ムラサキが尚も念を押す。 
 多分…問題無い筈だ。僕は修行に祖母の家に行った。 
 だが…。 
16:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:40:48.94 ID:1/zk8vPV0
 僕と同い年の女の子…。 
 青のマスクと赤いプロテクターを纏ったヒーロー。 
  
 「…奈緒…津村奈緒…」 
 「うん…?」 
17:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:41:27.73 ID:1/zk8vPV0
 ようやく完全に落ち着きを取り戻した僕は額から手を外すとムラサキに呟いた…。 
  
 「津村奈緒に…」 
  
 ムラサキはジッと僕を観察している。 
18:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:42:17.16 ID:1/zk8vPV0
 誰も見てないんかな? 
  
  
 第一章 海辺の町  DAY1 
19:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:44:18.56 ID:1/zk8vPV0
 ようやく長い山合いの道を抜けると目の前には青い海が広がり僕は自転車を停めた。 
  
 「よっしゃあああああああ!」 
  
 汗だくの僕はそう雄叫びを上げて両手を空へと突き出す。 
20:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:46:02.77 ID:1/zk8vPV0
 あれ…? 
 自転車を降りて立った状態でズボンを探しまくる。 
 勿論、ただの短パンなのでポケットの数なんて知れていた。 
 冷たい汗が止めどなく流れ始めていた。 
  
21:名無しNIPPER
2016/08/07(日) 12:47:26.06 ID:k0/bWBKq0
 ああ…もう、どこ…? 
 何なんだよ荷物、訳わからんもん入れ過ぎだろ…何でチクワなんか入れてんだよ… 
 真夏の喉渇きまくりの時に何でチクワを食べるのか昨日の俺にレポートを提出させろよ…。 
  
 僕の冷たい汗が暑さの汗を完全に上回った頃。 
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