119:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:42:23.77 ID:Hr1jCc1H0
「…街の人が言うには」
「うん?」
ナオは手に付いたパン屑を手を叩いて払った。
120:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:43:25.01 ID:Hr1jCc1H0
世界が崩壊してるって…。何かの陰謀論的な響きに聞こえる。
「ナオは…街の人との交流があるんだ」
「はい。まあ交流と言う程じゃないんですが…二週間に一度買い出しに街に出かけるんです」
「それ以外は…?」
121:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:44:27.42 ID:Hr1jCc1H0
「あの水は…何なの?」
「山の向こうに有る海です」
「海?」
「はい、あの山の向こうに海が有って満潮になると、ああやって山を越えて、ここに水を溜めるんです」
「で、その水を…水門を開けて流し出す…と。そう言えば二日前にも君は出掛けたね」
122:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:45:07.15 ID:Hr1jCc1H0
「インカは、どうやらオーウェンを王に据えようと考えている様だ」
そうアビルが告げたのはウォルフの杯が空いた時だった。
「オーウェン…卿をですか?」
123:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:46:07.98 ID:Hr1jCc1H0
「だが…現段階では一番ではある」
確かに。現段階の王位継承権を探すと一番かもしれないが…。
「…で、こちら側はどうなっているのだ?」
124:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:48:11.08 ID:Hr1jCc1H0
風が心地よく感じられた。
私はエアバイクに接続された荷台の上に座り通り過ぎる風景を眺めていた。
太陽の光りは日が高くなるに連れて赤色から少しオレンジ色に変化をしている。
それでもこの世界を灯す色には何かしらの異常が感じられるのは間違いが無かった。
道は森林が開け草原の中のそれになり、山道に比べると幾分か走りやすい様子がエアバイクを運転するナオの後ろ姿で感じられる。
125:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:49:28.89 ID:Hr1jCc1H0
その言葉に私は少し体を伸ばして進行方向を見る。すると、草原の向こうに微かに街並みが見えるのが分かった。
それでも、結構かかりそうだな…。
私はそう思うと空を見ながら時間を潰す事にしたのであった…。
126:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:50:07.51 ID:Hr1jCc1H0
メインストリートと呼べる場所にはその石造りの軒先に布でテントを作り商品を並べる店舗が数多くあった。
ただ…そこまでの活気を感じる事が出来ない。どちらかと言うと暗い、街並みに感じられた。
「最初に野菜を買いに行きます」
「了解」
127:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:51:27.43 ID:Hr1jCc1H0
「何?」
「あ、いえ…何か楽しいです」
「え?」
「いつも一人で買い物をしているので…誰かと一緒なんて新鮮で」
128:1 ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:52:17.12 ID:Hr1jCc1H0
私は違和感の元を探す事を諦めてナオについて行った。
メインストリートを抜けると大きな広場があり、その中心に高い建物がそびえ立っている。
「ここです。階段を上がるんですけど…あ、失敗しましたね」
「え?」
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