過去ログ - 海辺の町と赤く染められた国
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109: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:26:27.20 ID:kqsr3JY+0
結局は…。
彼は再び窓の外を見つめる。赤色の光り。終末を感じさせる空。
どちらが先に自分の論調に有利な…王を擁するか…。
それに尽きてしまう。
その為に…両派の間諜達が暗躍していた。
以下略



110: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:27:42.19 ID:kqsr3JY+0
自分の目に光りが当たっているのが分かった。
ゆっくりと目を開けると窓の外からの強い朝日が差し込んで来ていた。
私は一旦寝返りを打ち再び目を閉じたが思い返して目を開ける。
そしてベッドに身を起こすと差し込んで来る光りを見つめた。
眩しい赤色の光りが暗い部屋の中を照らしている。
以下略



111: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:29:02.72 ID:kqsr3JY+0
足元の岩で出来ている崖は赤い太陽に照らされて赤く染まっているので世界が赤く見える。
唯一、小屋の後ろ側へと広がっている森だけが黒々と見えていた。

崖は私の両側へと広がり遥か彼方にある稜線と繋がっており、向こう側は少し低い山へと変化していた。
崖の下には広大な森が広がっており、向こう側にある山と合わせると、崖の下は盆地になっているのだ。
以下略



112: ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:30:11.91 ID:kqsr3JY+0
私の視線は遥か向こう側の山の稜線へと向けられ、その一瞬を見逃すまいと思っていた。
轟音が更に大きくなった瞬間に山の稜線の先に大きな波が飛沫を上げて高く舞い上がる。
と、同時にその波は一気に山の麓へと流れて行った。
その大量の水は山を下り一気に盆地の森を飲み込んでいく。その後に続いてザーッ!と言う轟音が私の耳へと届いて来た。
音のズレがその光景を更に神秘的に魅せるのだ。
以下略



113: ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:33:43.86 ID:kqsr3JY+0
だが、盆地の中では幾つもの渦を作り水がぶつかり合いこの広大な桶に水を溜め込んで行っていた。
泡立つ水の勢いが収まり、波が穏やかになると、この壮大なイベントも終了だ。
水は私の五メートル程の距離で穏やかな畝りを見せている。

「…おはようございます…」
以下略



114: ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:35:44.60 ID:kqsr3JY+0
「あ、いや…見た事有るかも知れないけど…覚えてないな…」

その言葉に彼女も笑う。

「ゆっくり…思い出して下さい…慌てないで大丈夫ですよ…」
以下略



115: ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:36:49.59 ID:kqsr3JY+0
「さあ…じゃ、朝食の支度をしますね」

彼女はそう言うと母屋の方へと歩き出した。母屋は私が寝泊まりしている離れの隣にあった。
大きさ的には余り変わらないが少し奥行きがある。

以下略



116: ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:37:43.90 ID:Hr1jCc1H0
私がこの場所に辿り着いたのは一週間前の事だったらしい。
らしい、と言うのは私にその時の記憶が無い。
私は彼女の小屋があるこの崖の麓近くで倒れていた様だ。
勿論、水が溜まった盆地の下では無く小屋の後ろにある森の方だ。
私は丸二日寝ていて目が覚めたのは五日前。彼女はその間ずっと私を看病してくれていた。
以下略



117: ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:39:44.66 ID:Hr1jCc1H0
何故、彼女の小屋の近くで倒れていたのか…そして、私自身の名前すら分からない。
そう、私は記憶を失っていた。
だから『水溜め』が珍しいのかどうなのかも分からない。ここが何処なのかも分からない。
そして、何故太陽が赤いのかも…分からなかった。
今現在、私が分かっているのは言葉と、数の数え方…
以下略



118: ◆sfGsB21laoBG[sage]
2016/08/09(火) 19:41:43.11 ID:Hr1jCc1H0
私はカボチャのスープを啜った。
そう言えば…。
私はナオの住む小屋を見回した。
確かにこんな人里離れた場所に一人で住んでいたら何の情報も入って来ないかもしれない。
そもそも何故、彼女はこんな人里離れた場所に一人で居るんだろう?
以下略



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