179:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:12:17.34 ID:VLnMOMfy0
「…ごめんなさい」
「いやいや、もう五年じゃないっすか」
叔母さんの謝罪を信一は笑って受け流す。コイツのこう言う所が…僕は好きだ。
180:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:13:07.68 ID:VLnMOMfy0
「ねえねえ、奈緒ちゃんも行こう?海ー」
チビ達が奈緒に言うと一瞬、彼女の目が泳いだ。
「…奈緒は良いじゃん、達矢兄ちゃんと信一のバカで連れてってやるよ」
181:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:13:52.66 ID:VLnMOMfy0
「奈緒ちゃん、行くのぉ!やったあ!」
チビ達が口々に喜びだした。
俺は奈緒を見る。奈緒は困った表情で笑っている。
182:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:15:03.64 ID:VLnMOMfy0
「あんまり心配し過ぎるなって…」
砂浜に向かう途中で信一がそう言う。
「…いや、でもさ」
183:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:15:44.63 ID:VLnMOMfy0
「達矢にいちゃーん、浮翌輪膨らませてえ」
チビ達の言葉に僕は笑う。
「よっしゃ!兄ちゃんはスゲえ膨らませるぞぉ。膨らませ過ぎて浮翌輪が宇宙まで行っちゃうぜ」
184:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:16:47.83 ID:Yv50vCTj0
信一が膨らませ口を拭いて膨らませていた。
膨らんだ一個の浮翌輪を持ってチビが海に入って行くのを僕は砂浜で見つめる。
海からの風が心地よい。
…結局は。僕の中で何かが変わってしまったんだろうか?
185:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:17:52.72 ID:Yv50vCTj0
「何でパーカーを羽織ってんのよ…そんで何でホットパンツ履いてんの…」
「え?だって日焼けしちゃうし」
「脱げ」
「は?」
「大丈夫。日焼けしない様に俺が抱きつくから脱げ」
186:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:18:39.16 ID:Yv50vCTj0
「達矢兄ちゃん、何で倒れてるの?」
「達矢兄ちゃんはね、悪い悪魔に取り憑かれてるの。エロと言う悪魔にね」
「うわあ、じゃあ倒さないと」
奈緒の言葉にチビ達が一斉に僕に砂をかけ始めた。
187:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:19:43.86 ID:Yv50vCTj0
「タッチ!」
「いてっ!」
僕は信一の背中に思い切り手の平で紅葉模様を作る。
188:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/11(木) 18:21:16.10 ID:Yv50vCTj0
水中が好きだ。
特に海の中は最高だと思う。
僕は水深二メートル位の場所に肺に入った空気を全て吐き出し海底の砂の上に座り込む。
ゴーグル越しに見る海中の世界は海上の世界とは全てが違って見えた。
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