99:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:15:51.99 ID:Hr1jCc1H0
では続きを投下させてもらいます
100:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:17:33.14 ID:Hr1jCc1H0
第二章
赤く染められた国 DAY1
101:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:18:42.85 ID:Hr1jCc1H0
赤色の光が大きなガラス窓から入り込み議堂に赤と漆黒のコントラストを描いていた。
御前閣僚会議はその御前を意味する人物が居ないまま、かなりの長引きを見せている。
ウォルフはある意味皮肉に近いこの会議名と議題の矛盾を思いながらも結論の出ない会議を苛々半分、諦め半分の気持ちで挑んでいた。
「…かなりの時間を要しておりますが、閣下はこのままの状態で良しとお考えでしょうか?」
102:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:19:58.82 ID:Hr1jCc1H0
「…黙っておられては何も進みませんぞ」
再び言葉を発したアビルのそれには怒気が含まれていた。
「…私は、卿が何をそんなに慌てておられるのかが分からぬがな」
103:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:21:05.44 ID:Hr1jCc1H0
「実際に悪い方向ではないか!逆に何が進んでおるのだ?!エヴァン!」
「そう言う事ではない!首相閣下に向かってのお言葉が過ぎるのだ!」
「言葉狩りは辞めてもらいたい!今はそんな事を論じておる場合では無いことが分からぬのか!」
二人の意味の無い論戦にウォルフは辟易としていた。
104:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:21:49.26 ID:Hr1jCc1H0
彼は窓を見上げた。眩い赤い光が彼を射す。
…ずっと太陽の光は赤色だ。
あのキラキラした黄色い太陽、抜けるような青空は今は見る事が出来ない。
そして気温の変化が殆ど見る事がない。
105:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:22:48.99 ID:Hr1jCc1H0
作物は採れず、家畜は死に絶える。
水分の補給もままならない。一日一回の配給があるだけだ。
こんな状況で人が暮らしてはいけない。
毎月数千人規模の死者が出ている惨状であったのだ…。
106:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:23:37.92 ID:Hr1jCc1H0
「…私自身も、閣下一人に責任を押し付けている訳ではない…」
アビルが絞り出すように声を上げる。
その言葉にインカが閉じていた目を少し薄める。
107:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:24:34.87 ID:Hr1jCc1H0
「開門の…許可を…頂きたい!」
その言葉にインカは軽く笑った様に見えた。
「閣下…やはり現状は異常なのです…ですから…」
108:1 ◆sfGsB21laoBG
2016/08/09(火) 19:25:30.27 ID:Hr1jCc1H0
まただ…この議論では結局この堂々巡りに過ぎない。
自分がこの席に座る様になってからずっとこの議論だ。
この議論の結論は出ないんだ。
ウォルフは溜息が出そうになる。
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